源泉掛け流しの見分け方は?(写真はイメージです)
源泉掛け流しの見分け方は?(写真はイメージです)

 世界でも無類の風呂好き民族として知られる日本人。特に温泉は人気スポットで、効能やロケーションなどにこだわった、お気に入り温泉があるという人も少なくないはず。

温泉選びに関して、ひとつのポイントとなるのが「源泉かけ流し」かどうかだ。温泉はとりあえず「源泉かけ流しの方がいい」というイメージがあるが、実際のところ、源泉かけ流しとそうでないものの厳密な違いを知っている人は少ないのではないだろうか。

そこで、今回は、源泉かけ流しとはどういうもので、見分けるポイントはどこなのか、専門家に聞いてみた。

「源泉かけ流し」を理解するにあたって、まずは「源泉」と「かけ流し」ふたつの言葉について調べてみた。まず「源泉」は

(1)温泉法で定められた温泉であること
(2)所有する自家源泉、または共同源泉からの引き湯を使用していること

が条件になる。続いて「かけ流し」の方は

(1)新しい湯を常に浴槽に注いでいること
(2)注がれた分だけの湯が浴槽の外にあふれていること
(3)あふれた湯は決して浴槽に戻さないこと
(4)湯量の不足を補うために、浴槽内で循環ろ過させないこと

とのこと。つまり、まとめると、「温泉法で定められたお湯を、源泉からひいてきて」「常に新しいお湯を注ぎ、循環させない」温泉のことのようだ。

 これに加えて、実は温泉業界には「日本源泉かけ流し温泉協会」なるものがあり、そこでは「加温と加水」に関して次のような条件を書き添えている。

・基本はあくまでも“源泉100%”だが、入浴に適した温度にするため、泉質を損なわない範囲での最低限の加水・加温は認める
・湯量不足を補うための水増し加水は認めない

 つまり、「温度調節のために水を入れるのはいいが、湯量調整のために入れるのはダメ」ということらしい。

 しかし、こうなってくると、水が注入されていたとしてもそれが湯量のためなのか温度のためなのかがわかりづらい。簡単に源泉かけ流しかどうかを見分ける方法はないのだろうか。

温泉宿の予約サービスを提供する株式会社ゆこゆこの広報・温泉ソムリエの笠原敦子さんによれば、意外なことに「ちょっと汚く見える湯」の方が、源泉かけ流しである可能性が高いという。

「循環していない温泉は純度が高く成分がほぼ源泉のままであるために、浴槽などに温泉成分が付着して石化していたり、変色しているんです。さらに、温泉が出ている『湯口』には温泉成分が付着していることが多いので、かけ流しかどうか気になったら、湯口に注目してみるといいでしょう」(笠原さん)

なるほど、浴槽などに温泉成分が付着しているかどうかが、ひとつのポイントになりそうだ。さらに温泉に掲示してある「温泉分析書」を見れば、より明らかになるという。

「温泉法の一部改正により、平成17年5月24日より、『加水』『加温』『循環』『殺菌剤、入浴剤などの混入』をしている場合は、その旨と理由を掲示することになりました。ここを見れば循環かどうかが分かるようになっています」(笠原さん)

 このようなポイントに注目して温泉を選ぶようになれば、立派な“温泉通”といえそうだ。

【関連リンク】
源泉からかけ流しの温泉宿(ゆこゆこネット)
http://www.yukoyuko.net/special/dir/name/s_kakenagashi