日立市かみね動物園 「チンパンジーの森」の植樹祭と群れづくり
日立市かみね動物園 「チンパンジーの森」の植樹祭と群れづくり
埼玉県こども動物自然公園 シカとカモシカの谷
埼玉県こども動物自然公園 シカとカモシカの谷
秋吉台自然動物公園サファリランド 大空を飛ぶアフリカハゲコウ
秋吉台自然動物公園サファリランド 大空を飛ぶアフリカハゲコウ

 12月1日、東京大学弥生講堂で市民ZOOネットワークによる「エンリッチメント大賞2012」の表彰式が行われ、日立市かみね動物園「チンパンジーの森」など3施設が大賞を受賞した。過去には、旭山動物園のあざらし館やオランウータン舎なども同賞を受賞している。

ここ数年、人気を集める動物園では、ガラス張りの檻やトンネル、動物たちに触れることができる展示方法など、見る側が楽しめる工夫が凝らされてきた。さらに進んで、見られる側の動物たちも快適に過ごせるような工夫がほどこされた飼育施設も多く作られるようになった。
「エンリッチメント大賞」はこのような、動物たちが快適に暮らせる施設に対して贈られるもので今年、11回目となる。

今年度は以下の3施設が大賞に選ばれた。

〈日立市かみね動物園 「チンパンジーの森」の植樹祭と群れづくり〉
08年にオープンした「チンパンジーの森」は、毎年1回、来園者が苗木を持ち寄って植える参加型の植樹祭を行なってきた。継続により、チンパンジーが好奇心を満たす「森」に少しずつ近づいてきている。また、いったんは人工哺育となったチンパンジーの子どもを、記録的なスピードで群れに戻したりと今後の群れづくりにも期待できる。

〈埼玉県こども動物自然公園 シカとカモシカの谷〉
園内の雑木林を利用し、シカとカモシカという日本産動物を飼育している。来園者は、シカやカモシカを探しながらウッドデッキを歩く。シカのいる谷といない谷の両方を観察することにより、近年問題になっている野生シカの食害なども考えられる展示となっている。

〈秋吉台自然動物公園サファリランド 大空を飛ぶアフリカハゲコウ〉
体長約120cm、広げた翼は2メートル以上という大型鳥類が大空を飛ぶ姿は圧巻。動物園で飼育されている鳥類の多くは逃亡防止のため、ケージ内で飼育するか、風切羽を切断して高く飛べないようにされている。運動不足解消と野生本来の行動の発現を目的としてフリーフライトに取り組んでいることが評価された。

基調講演を行った松沢哲郎(京都大学霊長類研究所)教授は「動物園は野生動物と人間とをつなぐ窓のような役割があり、本来の習性を生かした野生に近い環境で飼育することが望ましい」と話した。

こういった施設が増え、その飼育施設ならではの工夫で、動物たちの野生を感じることができれば、動物園を訪れる楽しみもより広がることだろう。