カリスマ家政婦が遭遇
<人生の転機>

遭遇事件簿(5)60代の専門学校デビュー
「和室に布団を敷いて寝られるようにしたい」というご希望を聞いてふすまを開けてみると、そこは壁になっていました。正確に言えば、私の背丈以上に日用品や何かの箱、家具などが積み上がっていたのです。衝撃的な光景でした。正直、「これは私の手に負えるレベルではない…」と感じました。

 ところが、依頼者は本気でした。60代の年齢を感じさせないバイタリティーで、要、不要の判断を進め、1回目の片づけで大きな成果が出たのです。

 聞けば、先日ようやく家族の問題が一段落し、「自分のために時間を使う」と覚悟を決めて料理の専門学校へ入学を決めたとのこと。4月になると学校が始まり、週末も実習の準備で忙しくなる、まとまった片づけはもうできない、やるなら今しかないんです!と力強くおっしゃるのでした。

 家族の事情に合わせて暮らしていた時は、「今後どうなるかわからない」といった恐れの気持ちが強く、モノを捨てることがどうしてもできなかったそうです。でも今は、新生活を迎えるために快適な睡眠環境を作る必要があるから、捨てるのは好きじゃないけれどがんばって片づけたい、とのことでした。

 2名態勢での訪問が続き、毎回ゴミ袋20袋以上のモノを処分。3カ月後、和室は布団を敷ける部屋に生まれ変わりました! 短期間でこんなにも空間と生活が変化するのは驚きでした。期限と目的が決まっていることはもちろん、生活に希望があることが、片づけの原動力になるのだと実感させられた出来事でした。

 22年の片づけ現場を振り返ってみると、「片づけたくなるモチベーション」について、改めて考えさせられました。「今年こそ大掃除をがんばるぞ!」「だけど、何から手を付けたらいいかわからない」という人も多いと思います。そんな時は、『家じゅうの「めんどくさい」をなくす』を読んでみてくださいね。

(家族の片づけコンサルタント sea(しー))