荻原博子(おぎわら・ひろこ)
荻原博子(おぎわら・ひろこ)

 ほとんどの人に共通する悩み、それは「お金の悩み」だ。「お小遣いが足りない」、「毎月家計が赤字」、「家を買いたいけど頭金がない」、「老後のお金をどうしよう」……。そして誰もが、こう思う。「一生、お金に困らない生活をするにはどうすれば良いのだろう」と。そんな悩みに応える1冊が、経済ジャーナリスト荻原博子氏の『一生お金に困らない お金ベスト100』だ。この1冊に、いろいろなお金の秘策が詰め込まれている。いよいよ今月に期限を迎えるふるさと納税について話を伺った。

(取材・構成/鈴木雅光、撮影/疋田千里)

やらなきゃ損!「ふるさと納税」

―――年内にやらなければならないこととしては「ふるさと納税」もそのひとつだと思います。ふるさと納税は本当におトクなのですか?

荻原博子さん(以下、荻原):もちろんです。これは積極的に活用しましょう。何がおトクかって、2000円の自己負担で、寄付したお金に対して3割程度のお礼の品がもらえる点です。

―――いったい、どのくらいトクなんですか?

荻原:具体的に数字を挙げて説明しましょう。たとえば独身または共働き世帯で、年収が400万円の人の場合、上限4万2000円までの寄付に対して、3割程度のお礼の品がもらえます。つまり2000円の自己負担で1万2600円程度のお礼を受け取れるわけです。

「ふるさと納税」は国や地方自治体に支払う所得税や住民税を、寄付金制度を使って自分の好きな自治体に寄付できるという制度で、よく「節税」と勘違いされますが、厳密には違います。ただ、お財布から出ていくお金は2000円多くなるものの、代わりに「お礼の品」がもらえるので、その分がおトクです。

「ふるさと納税」には落とし穴がある!

―――2021年のふるさと納税を利用するには2021年12月31日までに申し込めば良いのですね。

荻原:はい、そうです。ただ、ふるさと納税って、年末に駆け込みで申し込む人が結構いて、そういう方は落とし穴がいくつかあるので注意しましょう。

―――落とし穴! 気になります。いったいいくつあるのでしょう。

荻原:大きくは「3つ」あります。たしかに納税の期限は12月31日までです。でもこれは、申し込んだ日ではなく、入金日がベース。ふるさと納税を行うと、寄付先の自治体が「受領証明書」を発行しますが、ここに記載される「寄付日付」が12月31日までであることが必要なのです。

 年内の寄付受付は、自治体によって異なって、2021年の地方自治体の御用納めは12月25日、自治体によっては12月20日あたりです。それまでに入金確認してもらわないと、2021年のふるさと納税には間に合いません。これが1つ目の落とし穴。

 ですからもし、年末ギリギリになってふるさと納税を行う場合は、クレジットカードで決済することをお勧めします。銀行振込だと、入金日と受領日にズレが出る恐れがありますが、クレジットカードなら、決済日が証明書の「寄付日付」になりますから12月31日に決済しても大丈夫です。

年末に間に合わないとどうなるか?

―――もし12月31日に間に合わなかった場合、どうなるのでしょう?

荻原:年末に申し込んでも、年始に申し込んでも、寄付は1年中できますから、ふるさと納税自体は可能です。ただ12月31日に遅れると、その年は「ふるさと納税」 をしなかったことになります。

―――なるほど。たとえば今年の年末に間に合わないと、2022年に寄付したことになるわけですね。

荻原:また年末は、駆け込みの申込者が増えるので、お礼の品の発送が遅れたり、品切れになったりすることもあります。

 ですから、もしどうしても欲しい品があるなら、年末ギリギリに申し込むのではなく、10月~11月くらいには申し込んだ方が良いでしょうね。今はもう12月なので、これは来年の教訓にしてください。

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