50歳代である私も、世代の離れた30歳代の起業家たちが中心の会合に参加するのは正直、皆さんエネルギーがすごいのでしんどい面がありますが、それでもそこでの学びや刺激、人のつながりは非常に大切だと思うので頑張って参加します。

 それほど会わないが信頼できる人との結びつきをウィーク・タイズ(弱い紐帯=ちゅうたい)といい、アメリカの社会学者マーク・グラノヴェターは家族や近い友人といったストロング・タイズ(強い紐帯)よりウィーク・タイズによって転職者は有益な情報をもたらしてくれる可能性が高いとしています。

 自分が興味、関心のある場所に足を運びましょうというのは、このウィーク・タイズの構築のためともいえます。

■プロフェッショナルであり続けるために自律的にキャリアを考える

 もう一つ、お座敷がかかるようになるには、やはり自分自身が何らかのプロフェッショナルであることが条件になります。

 日本の会社のキャリア形成の仕組みでは、35歳になる頃にはみんな何らかのプロフェッショナルになっているはずです。しかし管理職に昇格して第一線から離れ、管理業務ばかりでしばらく時間が経過すると、せっかく身に付けた専門性もさびついてしまいます。

 そうならないように、自分のキャリアや専門性について会社任せにせず、自律的に考え、磨き続けていかなければなりません。実際、「管理職になって第一線から外されたくない」との理由で転職相談に訪れる人は珍しくありません。

 一つの会社という狭い世界のなかで管理業務ばかりやっていて、気が付いたら60歳になりいつの間にかプロフェッショナルではなくなり、人的ネットワークもない――。そんな人にお座敷がかかるわけがありません。

 興味、関心に基づく人的ネットワークをどう広げていくのかと同時に、自分は何のプロフェッショナルであり、どう腕を磨き、アップデートし続けていくのか。これら二つの課題は密接に関連するものであり、早くから取り組み続けることが、食えるシニアになるための道を開きます。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)