レジャバ氏は、「松屋のシュクメルリにはさつまいもが入っていたり、ファミリーマートのシュクメルリはご飯と一緒に食べる。本場の味と比較すれば邪道だと言う人もいるでしょう。しかし、私はあえてこれを『進化』と呼びたいと思います。一過性のブームで終わらせず、文化として定着させるためには、ジョージア人の価値観だけでなく、日本人の価値観を考慮しなければなりません」と語る。

 一方で、「文化の定着には、まず知ってもらい、体験してもらい、そして生活の一部にしてもらうプロセスが重要です。さまざまな方々のご協力で、ジョージアの文化は着実に広がってはいますが、日本人の生活の一部になるまでには、まだ時間がかかります」と、その難しさについても語る。

 ジョージアは日本から距離的にも文化的にも遠くに位置する。「日本人にとっての非日常をどう日常の一部にするか」について日々知恵を絞るレジャバ氏の苦労が筆者の目にも浮かぶ。

 最後に、シュクメルリの次に「バズり」そうなジョージア料理を聞いてみると、「ジョージアのチーズパンことハチャプリだと思います。とても日本人に口に合います。また、料理ではありませんが、8000年の歴史を持つジョージアワインもおすすめです。」と、次のブームを予言している。

■ジョージア料理の魅力。アジアとヨーロッパの要素が絶妙

 ジョージア料理の魅力は何か。各国・郷土料理研究家の青木ゆり子氏は「ジョージアが位置するコーカサスは、アジアとヨーロッパの食文化が混ざり合ってできている。あまり知られてはこなかったが、見た目も味も良い新しいフロンティアが発見された」と語る。

 アジアとヨーロッパの要素を絶妙に取り入れたジョージア料理は、レジャバ氏の発言にもあった通り、日本人の口にとても合う。実際に筆者も現地で舌鼓を打ったが、ハチャプリはチーズの濃厚な味わいが特徴で、それにフルーティな風味が強いジョージアワインが絶妙に合う。まさに本場でしか体験できない味わいで、早く日本でも食べられるようになってほしいと切に願う。

 コロナ禍が終わったら、ぜひ「美食の国」ジョージアへの訪問をオススメする。日本風ジョージア料理も絶品であるが、ぜひ本場のシュクメルリにもぜひご賞味いただきたい。そして、これからはやるであろうハチャプリ、そしてワインも一緒にテーブルに置いて一緒にご唱和ください。

「ガウマルジョス!」(ジョージア語で「乾杯」の意)