ですが今年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、Cさんが勤める会社の業績に大きな影響が出てしまいました。夏のボーナスは1割カット程度で支給されたものの、秋口には「冬のボーナスは大幅減額または不支給」との見込みが伝えられました。幸い、妻の会社のボーナスは微減で済みそうな状況ですが、例年と比べると、約1人分のボーナスが入らないことになります。これでCさんの家計状況はピンチに立たされることになってしまいました。

 というのも、Cさんの家計はCさんと妻、2人分のボーナスがあって回っている状況だったからです。たとえ1人分でも、ボーナスが入らないと支払いがきついのです。

 Cさんご夫婦はどのような家計状況だったのでしょう。うかがうと、毎月の収支は赤字であることが分かりました。ボーナスで赤字分を補填してきたのです。ボーナス支給とともに赤字が帳消しになるので、通帳に印字される数字としては黒字を保っていました。見た目は問題がない家計を保っているように感じられるので、毎月の赤字に気が付かなかったようです。

 自動車ローンをボーナス払いにしていたり、ショッピングや帰省費用をクレジットカードのボーナス1回もしくは2回払いで利用していたりしたため、その支払いや自動車保険料など年払いのものにかかる費用などで、ボーナスはほとんど残ることなく無くなってしまいます。本当ならここでボーナスの残り具合が少ないと感じて家計を見直すべきなのですが、支払いに困ることがなかったため、見過ごしてしまったのでしょう。

 一方で、このような状況ですが、蓄えが全くないという家計ではありません。貯金は潤沢とはいえませんが、毎月、投資信託の積み立てをしており、ある程度の資産はあります。ただ、せっかく積み立てた資産も、赤字や支払いへの補填が貯金では足りなくなれば、現金化することが必要になるかもしれません。

 今までは表面的に安定しているように見えた家計や暮らしが、たった一度のボーナス減額でこんなにも影響を受けてしまうのです。

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ボーナスありきの家計を見直そう