●間違っていても指摘しない

 子どもの説明が間違っていることもあるでしょう。しかしそこで説明をさえぎって、親が教える側にまわっては意味がありません。

 子どもの指示にそのまましたがって、つまずいたところで「これで合ってるかなぁ?」などと質問してみます。

 子どもはそこで間違いに気づくと、自分で解決しようとします。できるだけ手を貸さず、自分で考えさせるようにします。

『脳が認める勉強法』(ダイヤモンド社)の著者、ベネディクト・キャリーは、「人に教えることによって、混乱している部分、忘れていたことが、あっというまに明らかになる。これは非常に効果の高い学習だ」と述べています。

 さらに、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者、ロバート&エリザベス・ビョーク教授夫妻によると、あやふやになっていたり忘れてしまっている脳の記憶を掘り起こす作業が大変であるほど学習の力が高まるそうです。

 人に教える際はあいまいさが許されないので、この意味でも高い学習効果が期待できます。

●感謝を伝える

 子どもに教えてもらった後には「よくわかった。わかりやすく教えてくれてありがとう」と感謝を伝えます。これは子どもにとっては「親の役に立てた」という成功体験になります。

 脳は一度この快感を得ると、同じ状況を再現しようとし、子どもは「また教えてあげたい」と思えるようになります。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』からの抜粋です)

参考文献
John F Nestojko, Dung C. Bui, Nate Kornell, Elizabeth Ligon Bjork, “Expecting to teach enhances learning and organization of knowledge in free recall of text passages,” Memory & Cognition 42(7) (May 2014)
ベネディクト・キャリー『脳が認める勉強法 「学習の科学」が明かす驚きの真実!』(花塚恵訳、ダイヤモンド社)