窓が1つしかない場合は、これらの送風アイテムに加えて換気扇の併用がおすすめだ。

「細長い1Kの部屋はベランダの戸が1つしかない部屋が多いです。その場合はベランダを開けて扇風機のファンを外に向け、台所の換気扇を回します。空気の入り口がベランダしかなくても、換気扇が室内の空気を外に出してくれます。間取りによって空気の流れは違うので一概には言えませんが、『部屋の汚れた空気を外に出す』というイメージを持って工夫すれば、最適解が見つかるかもしれません」※【図2】

■コロナ対策で換気しながら節電する4つのポイント

 しかし、クーラーを使用しながら空気を入れ替えるとなると、気になるのが「電気代」だ。

「たしかに、換気をしない場合に比べると多少電気代はかさみますが、いくつかのポイントを押さえれば節電も可能です」

●帰宅後はクーラーをつける前に換気

 感染症防止の目的だけでなく、夏はエアコンの電源をONにする前に換気をしてほしい、と野呂氏。

「熱気がこもった部屋をエアコンで冷やすには、かなりの電力を消費します。まずは外の涼しい空気を室内に取り入れてから、エアコンに電源を入れましょう。先述のように、窓を2カ所開けて扇風機やサーキュレーターを使うと、部屋の熱気を逃がすことができます」※【図3】

●換気中もエアコンの電源は切らない

「エアコンは電源を入れて起動するときに、最も電力を消費します。なので、短時間でONとOFFを繰り返すと、逆に電気代がかかってしまうのです。換気中もエアコンはONのままにするのがベスト。その際は、リモコンで設定温度を下げて冷たい風を保ち、熱中症対策を心がけましょう。温度設定は、寒すぎず暑すぎないお好みの温度を探ってみてください」

 電気代節約のために熱中症になっては本末転倒。エアコンの電源ではなく、リモコンで温度を調節するのが鉄則だ。

●換気後は「風向」と「風量」の調節が肝

 換気が終わって窓を閉めた後に、早く部屋を冷やすのが節電への近道。リモコンでの「風向」と「風量」の調節がカギを握る。

「換気後、風量は『自動』に設定します。節電のためにずっと『弱』に設定している人もいますが、『弱』のままだとなかなか設定温度に到達できないので、長時間一定の電力を消費し続けてしまいます。『自動』設定なら、換気直後は強風になり、部屋が冷えたら弱に切り替わるので、より効率的に部屋を冷やすことができます」

 一方、風向は「上向き」か「平行」に設定してほしい、と野呂氏。その理由は、温かい空気は軽く、冷たい空気は重いという“空気の性質”に起因しているという。

「冷風は重いので、部屋の下に溜まっていきます。そのため、風向を上向きや平行にすると、自然と冷風が降り注いで室内の“温度ムラ”をなくすことができます。また、エアコンの中には温度計があり、部屋の上部が冷えれば自動で風量を抑えて、冷えすぎを防いでくれます」※【図4】

●扇風機、サーキュレーターを使って空気をかき回す

 部屋を早く冷やすには「室内の空気をかき回す」のもポイント。換気の際に使った扇風機やサーキュレーターなどの送風アイテムは、ここでも活躍する。

「『L字型』の間取りで部屋の隅に冷風が届かない場合は、熱気が溜まっている場所に風を当てて空気を散らしましょう。また、冷たい空気が溜まっているところに扇風機を当てれば、冷気が拡散して温度ムラがなくなります」

 送風アイテムはファンが回るだけなので、電気代があまりかからないそう。ぜひエアコンと併用してほしい。

「今年の夏は、自宅勤務のビジネスパーソンも多いと思います。しっかり換気をしながら、エアコンで熱中症対策をしてみてください」

 酷暑が続くコロナの夏。しかし、コツをつかめば、換気と節電の両立も夢じゃない!