●【その弐】退職金での高額投資デビューはご法度 金融機関は虎視眈々とあなたの資産を狙っている

 退職金が口座に振り込まれると、振込先の金融機関が営業をかけてくることは珍しくない。だが、銀行の営業員の言うことを真に受けると、思わぬ痛手を負いかねないので注意したい。というのも、大金を手にした資産運用の知識が浅い“投資素人”は、手数料の高い商品を勧めて囲い込み、収益につなげる上で格好のターゲットとなるからだ。

 こうした点を踏まえ、経済コラムニストの大江英樹氏は「投資経験のない初心者が、退職金をつぎ込んで投資デビューすることだけはやってはいけない」と警鐘を鳴らす。

 退職一時金を手にした退職者に、金融機関が勧める代表的な金融商品には、外貨建て保険や個人向け社債、仕組み預金やファンドラップなどがある。また退職者向け優遇金利を適用する定期預金と投資信託をセットで販売する「退職金プラン」では、年5%など高い利回りをちらつかせながら、対象となる投信の手数料は3%にも上るといった仕掛けが組み込まれていることが多く、決して飛び付くべき商品群ではない。

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機関投資家よりも「個人投資家の方が有利」なこととは?