まずは、平時のお金の配分を見直す。食費や光熱費、日用品代といった今後膨らみそうな支出へ、お金を振り替える必要がある。不用になるクリーニング代やレジャー費の一部をそれに回そう。ただし、本来ランチ代は小遣いから出ていたはずだから、在宅勤務になっても昼食はそこから賄いたいものだ。

 買い貯めも限りなくやれば、出費が増えるだけだ。「もし自分や家族が感染したら」と考えて、隔離期間とされる2週間~1カ月分を目安に備蓄するなど、期間を決めて適正量を買うことを繰り返す。

 消費増税対策として子育て世帯が利用できる「プレミアム付商品券」の使用期限がそろそろ迫っているはずだ。すでに終了した自治体もあるが、3月末までという期限のところが多い。まだ手元にあるなら、備蓄品を買って使い切るのも手だろう。

 さらには、取りやめたイベントや旅行代金はだらだら使ってしまわないよう、別口座に退避させておく。前述のように、次の夏のボーナスが期待できない可能性が高く、いざという時の「予備費」として蓄えておきたいからだ。

●今だからこそ整理できる「引き落とし」や銀行口座

「巣ごもり」で在宅時間が長くなるため、この機に固定支出の棚卸をするのもいい。カードの利用明細や通帳をチェックし、利用料が引き落としになっている中に使っていないサービスがないか洗い出しをする。見つかったらさっさと解約手続きをしよう。

 特にカード払いにしている支出は、夫婦そろって見直すのがいい。夫名義・妻名義の支払い内容は当人しか知らないため、互いに開示しないと見直しが中途半端になるからだ。
 せっかく平日に動けるのだから、金融機関の整理をしてもいい。使っていない口座を解約し、少額でも残高があれば引き出してしまう。現在、銀行が一定期間取引のない不稼働口座に手数料をかける動きが加速中だ。三菱UFJ銀行が2020年秋にも導入する方向で、他行もどんどんそれに続くだろう(すべての口座に対してではなく、制度導入後に開設した口座が対象になる)。

 新型コロナショックは厄介だが、「家計を見直す機会」と前向きに捉えよう。お金もモノも身軽にしておき、有事に使える現金を確保しよう。準備する時間はたっぷりある。

(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)