なので、多くの中国人は、近年、多くの地震災害に直面してきた日本人に対し、

「中国人にできて、先進国に住み冷静で思慮深い日本人に、できないはずはない」

 と考えている。実際にSNSでは、

「学校の先生や親が混乱し、大変でしょうが、日本は民度が高いから、ここでなんとか頑張って、きっと乗り越える!」

「急に政府からこのような要請が出されて、親は大変混乱するかもしれないが、子どもの健康と命を考えると、何を優先すべきか、いうまでもないだろう。期末試験や卒業式がなくなるのは、確かに子どもにすればかわいそうであり、日本は卒業式など儀式を重んじる文化があるだけに残念に思う。しかし、命にかかわる問題に比べたら、そして長い人生において考えれば、これは非常事態の中の一コマの出来事であり、それほど深刻なことでもないだろう」

 といった声も少なくないのだ。

●国の事情や制度が違っても親心は一緒

 筆者はこれらのコメントや感想を見て、国の事情や制度が違っても、親心は一緒だと感じた。

 特に日本は超高齢化社会のため、次世代の子どもたちは国の未来であり、最優先にしなければならない。そのために、国家・国民をあげて協力して臨むべきと思う。

 それに、今回の中国の経緯を見たら、学校の休校措置は子どもや家庭にとって、必ずしも悪いことばかりではない。

 例えば、中国ではITによる遠隔コミュニケーション技術がより推奨されるようになり、3月2日からは、上海市をはじめ多くの都市の小中学校、高校、大学で、オンライン授業が始まる。

 上海の小、中学校、高校の合計12の学年ごとに、12のチャンネルでケーブルテレビとIPTVシステムを通じて授業を行う。上海市教育員会はこれらの教材を統一して用意し、精鋭の教師1000人を用意して授業に臨むという。

世間では、「学校の教師がテレビに出てキャスターになるので、楽しみだ」という声もあり、多くの保護者や子どもが期待している様子である。授業はテレビのほか、インターネットを通じてパソコンやタブレット端末での視聴もできる。これらのすべての授業の教材も、電子ファイルで配布される予定だ。

 当然、日本でも、遠隔コミュニケーション、オンライン授業などの技術革新がより一層進化するきっかけになるだろう。これを機に、休暇取得の奨励や時差出勤、リモートワークの普及など、働き方も大きく変わるかもしれない。

 ただ、ちょっと気になっているのが、筆者の周りにも小中学校生を持つ親が多い中、さっそく「遊園地などに行きたい」などとおねだりする子どもも出ていると聞く。すでにディズニーランドやUSJなどの有名テーマパークは2月29日から3月15日まで臨時休業を発表しているが、せっかくの学校休校の措置が無駄にならないように、親がしっかり管理すべきであろう。

 一刻も早く、新型肺炎が終息し、日本と中国の子どもたちが元気に登校する姿が見られるように願ってやまない。