●大勢の中国人が休校措置を称賛する2つの理由

 なぜ、中国の人々は日本の学校休校のニュースに大きな反応をし、称賛と理解を示す声が多いのか。その理由は2つある。

 まず、中国では長年の一人っ子政策の影響で一人っ子がほとんどである。子どもはその家の「すべて」であり、どんなことがあっても子どもを最優先に考える傾向がある。ゆえに「子どもを守るため」という安倍首相のとてもシンプルな主張に、多くの中国の親たちが理解を示したのだ。

 実際、日本をよく知る中国人からは下記のようなコメントがある。

「学校は学生で密集する場所であるため、1人でも感染したらすぐ集団感染になるだろう。そして、中国と違って、日本の学生は電車での通学が多いため、学校と公共交通機関でダブルリスクを負う。そう考えると、自宅にいたほう間違いなく安全安心だ」

 また、中国の自称「教育ママ」という女性は、下記のようなコメントを寄せている。

「これまで子どもの勉強ばかり気にしてきたが、考え方が少し変わった。今回の新型ウイルスで、多くの人が突然命を失った。勉強よりもっと大事なことがたくさんある、子どもの健康と健全な人格が最も重要だ。だから、今は時間がある中で、普通ではなかなかできなかったことだが、読書やコミュニケーションなど、子どもとゆっくり対面ができてよかったと思っている」

 2つ目は、今回の新型肺炎では、中国の人々は日本に対して「特別な思い」を抱いているからだ。

 これまでの日本からの支援や応援に対し、多くの中国人はとても感動し、感謝してきた。また、自分たちの国が新型肺炎の震源地であり、多くの中国人が日本でマスクを買い占めたり、多くの日本人が中国に寄付したりした。その結果、現在、日本がマスク不足になっている状況に「とても申し訳ない」という気持ちを持っている。

 それに加え、中国人から見ると、日本の「インフルエンザと同じ対応」を取っているような「緩い対策」には、首をかしげたくなるようなケースが少なくなかった。

 例えば、人々が密集するお祭りやマラソン大会を開催したり、ダイヤモンド・プリンセスから下船した人を隔離観察なしで公共交通機関を使って自宅に帰らせた…などのニュースは、多くの中国人にとっては感染を広げるような、とても信じられない光景である。

 そうした様子を、多くの中国人はとても歯がゆく思っていたのだ。だからこそ、今回の「臨時休校のニュース」は「よくやった!」と思うのである。

 実際、SNSなどには、

「ぜひ我々の経験や失敗を生かしてほしい」

「武漢の二の舞を演じないでほしい」

 など、多数の応援の声が寄せられている。

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学校休校が大変という気持ちも中国人には痛切にわかる