ランク外で本編集部が注目したのは10票を集め、惜しくも次点だったSUBARUの「スバル360」。58年に発売され大ヒット。小さくキュートな外観から、「テントウムシ」の愛称で親しまれた軽乗用車だ。

 自動車雑誌「月刊ニューモデルマガジンX」編集部の神領貢編集長は「復活してほしい気持ちは分かるが、これほど小さい車では、衝突安全性能が今の基準をクリアできない。復活は難しそうだ」と話す。

 かつては乗用車も取り扱っていた日野自動車からは、61年発売の「コンテッサ」が2票ばかりではあるが、玄人ファンの支持を得た。

●日産の上位集中、トヨタの最多ランクインに対して、ホンダの意外

 アンケートでは日産の上位集中(両アンケートでトップ3までに4車種)、トヨタの盤石の支持(両アンケートでトップ10に8車種)、マツダの健闘(同4車種)が光る一方、国内大手自動車メーカー3強の一角を占めるホンダは、プレリュード1車種のみランクインという寂しい結果となった。

 以下は識者の総括だ。

 モータージャーナリストの鈴木さんは、「メインの回答者が50代前後なら、『さもありなん』という車種が並んだランキングだった」と苦笑い。「最近の日産は元気がないけれど、ファンが根強く残っている。手頃な価格のスポーツカーを出すなど、もう少し期待に応えてほしい」と結んだ。

 同じくモータージャーナリストの川端由美さんは「日本人はやはりクルマが好きだ。117クーペなど、皆さんよくぞ古いクルマのことを覚えていた」と感心。アンケート回答者は結果的に男性9割だったが、「女性がもっと答えていたらオフロード車やSUV(スポーツタイプ多目的車)が上位に入ったかもしれない。実は大きなクルマが好きな女性は多いから」と推測した。

 マガジンXの神領編集長は「80~90年代のクルマがランキングに多く並んだ。当時はクルマが人生の楽しみにおいて大きなウエートを占め、日本車が非常に元気な時代だった」と述べた。またホンダが上位に1車種だったことについては、「ホンダはドライバーズカーのイメージが強い。『走りを楽しみたいクルマ』が上位を占めた今回の結果からすれば意外だ」と驚いていた。

 国内トップ3社では世界のトヨタ、何かとお騒がせの日産と比べると、ホンダの存在感は薄く、回答者の心理に影響したのかもしれない。

 回答者群に占める高所得者の割合が大きいにもかかわらず、ベンツ、ポルシェ、フェラーリなど外国車がベスト10にランクインしなかったことも想定外だった。神領編集長は「今は外国車愛用の人でも、青春時代に憧れた国産車のインパクトの方が強く、そちらを回答したのでは」と推測する。

 名車の基準は人それぞれ。CASE時代到来で街を走るクルマの顔触れが大きく様変わりする前に、自分なりにお気に入りの名車を見つけてみるのも一興だ。

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(ダイヤモンド編集部 土本匡孝:記者)