●非ネイティブほど、先手必勝で優位になる戦略を取る

 世界では、いろいろな国の人たちの力をうまく活用し仕事を進める必要があります。自分一人だけが有能であったとしても仕事はまわらないので、異なる国の人たちを巻き込みながらうまく動かしていくことが求められています。つまり、目的を明確にして人々を動かしていけるリーダーシップが必要となるのです。

 英語でのコミュニケーションにハンディがある非ネイティブこそ、常に先手必勝で発言しています。開口一番、自分の伝えたいことを言うことで場のイニシアティブを取ります。

 もちろん、先手必勝で行動するための準備も怠りません。リーダーシップといっても偉そうにしていればいいというわけではなく、人の前に出て議論の方向性を示して活性化させるのです。

 私も英語環境で仕事をするうえで「1番に発言すること」を常に心がけています。仮に1番でなくとも、「少なくとも3番目までには発言する」ように努めています。日本では最後に発言することで意見をまとめて整理する人が評価される傾向がありますが、海外では単なるまとめ屋は評価されません。自ら先陣を切って議論を活性化し、解決策を生み出すからこそ、リーダーシップがあると評価されるのです。

 昔は英語で発言するだけでも一苦労でしたので、人前に立って議論を推進していくなんてとてもできませんでした。しかし面白いことに、勇気をふり絞って3回ほど挑戦すると、そのプレッシャーに慣れてしまうのです。このように自らを律した努力は、まわりにも自ずと伝わります。外国人たちも非ネイティブの人が英語で頑張っていることを察して評価してくれます。

 英語力不足でも発言をためらうことなく、自分の強みや今ある知見を最大限に活かして、先手必勝でアクションを取るように心がけましょう。そうすることで、英語環境においてもリーダーシップを発揮することができるのです。

岡田兵吾(おかだ・ひょうご)
マイクロソフト シンガポール アジア太平洋地区ライセンスコンプライアンス本部長
同志社大学工学部卒業後、アクセンチュア、デロイトコンサルティング、マイクロソフトのグローバル企業3社にて、シンガポール、アメリカ、日本の3カ国を拠点に23年間勤務。グローバルコンサルタントのパイオニアとして、これまで、アクセンチュア時代には11か国の外国人コンサルタントを率いてグローバルプロジェクトを推進。

海外勤務歴17年、クビも日常茶飯事の超実力主義トップグローバル企業にて、アジア責任者として、15か国以上の多種多様な外国人プロフェッショナルたちをマネージしながら、アジア全域の新事業開発および業務変革に従事する。

かつては、売上ゼロが1年2か月も続いた時期もあったが、クビにならないために、非ネイティブの英語術を学んだ結果、コミュニケーションが抜群にうまくいき、初案件を勝ち取る。

現在、マイクロソフト アジア太平洋地区ライセンスコンプライアンス本部長として、日本・韓国・オーストラリア・ニュージーランドの4か国のライセンス監査業務の責任者を務める。さらに各種コンプライアンスプログラムのアジア責任者も兼任し、アジア全域のコンプライアンス対策およびデジタル変革を推進。また同社にて、アジア全域の働き方改革や国内外の大学・非営利団体でのリーダーシップ活動を評価され、数々の社内アワードを受賞する。

世界トップレベルの IEビジネススクール・エグゼクティブMBA取得。米国PMP(プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル)認定資格保持。著書に『すべての仕事を3分で終わらせる 外資系リーゼントマネジャーの仕事圧縮術』(ダイヤモンド社)がある。