●「早飯も芸のうち」は野蛮な考え

 逆に、早食いすれば血糖値は急上昇します。だから、ファストフードが好きなアメリカ人は、余計に太りやすいのです。

 健康で長生きするための習慣を身につけるために、これまでよりも食事に時間をかけてください。ランチを20分で済ませていた人は30分に、30分かけていた人は40分にと、意識的に長くしていきましょう。

 そして、噛む回数を増やし、一口一口味わって食べましょう。

 一人で食事をするとどうしても早食いになりますから、なるべく誰かとおしゃべりしながら食べるといいでしょう。

 ビジネスパーソンの食事時間について、以前は「早飯も芸のうち」といった野蛮な考え方が跋扈していました。しかし、自分の健康も守れない人にいい仕事ができるはずがありません。大切な食事をゆっくり楽しみましょう。

この原稿は書籍『医者が教える食事術2 実践バイブル――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』から一部を抜粋・加筆して掲載しています

(*1) Obes Res Clin Pract 2014;8:e249-e257
(*2) Am J Clin Nutr 2017 105:1351-61
(*3) Diabetes Care 2015;38:1820-6

【著者について】
牧田善二(まきた・ぜんじ)
AGE牧田クリニック院長。糖尿病専門医。医学博士。
1979年、北海道大学医学部卒業。ニューヨークのロックフェラー大学医生化学講座などで、糖尿病合併症の原因として注目されているAGEの研究を約5年間行う。この間、血中AGEの測定法を世界で初めて開発し、『The New England Journal of Medicine』『Science』『THE LANCET』等のトップジャーナルにAGEに関する論文を第一著者として発表。1996年より北海道大学医学部講師。2000年より久留米大学医学部教授。2003年より、糖尿病をはじめとする生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を東京・銀座で開業し、延べ20万人以上の患者を診ている。
著書に『医者が教える食事術 最強の教科書』『糖質オフのやせる作りおき』『糖質オフ!でやせるレシピ』『糖尿病専門医にまかせなさい』『糖尿病で死ぬ人、生きる人』『日本人の9割が誤解している糖質制限』『老けたくないなら「AGE」を減らしなさい』『人間ドックの9割は間違い』他、多数。 雑誌、テレビにも出演多数。