手肌の色に近いベージュで、手元をまとめてしまえば、手の難点を目立たせることなく、リングの重ね着けを楽しむことができます。ネイルカラーは、肌の色と同化するくらいのベージュをチョイス。爪は、長くするとかえってコンプレックスを目立たせることになってしまうので、短くても大丈夫です。

 リングの地金は、自分の肌色に最も馴染むカラーをチョイスして「横レイヤード」で。イエローゴールドでも構いませんが、大人の方はとくに肌馴染みのいいピンクゴールドがおすすめです。

【著者からのメッセージ】
はじめまして、伊藤美佐季です。私がファッションやジュエリーのスタイリングの仕事をするようになって、20年以上経ちます。きっかけは、20代の頃。当時、ジュエリーの広報機関でPRの仕事をしていた私は、初めての海外出張でイタリアを訪れました。そこで目にしたミラネーゼたちの、すばらしいジュエリー使いに大きな衝撃を受けたのです。

 その後、ジュエリーを学ぶために再びイタリアへ渡ったのは、30代になってからでした。イタリア滞在中は、素敵なジュエリー使いをしている人を見つけるたびに、そっと、でもじっくり観察。そして、街ゆく人の手元や胸元を見ては、メモを取る。そんな毎日を送っていました。

 数年後、日本に戻ってきてスタイリストの仕事を始めた私は、各ブランドの展示会やリース、そして撮影現場を通して、たくさんのジュエリーに触れてきました。そして、今日にいたる年月の間に、いくつもの失敗を重ねながらも、少しずつ自分らしいジュエリーのスタイルを見つけ、また日本人に似合うジュエリーの選び方、着け方も分かってきたように思います。

 そんな私が、今思うこと。それは、私の若い頃に比べて、今の日本女性は本当におしゃれになったけれど、あとひとつ、「ジュエリーがあれば、もっと素敵になれる」ということなのです。
 
 日本ではまだまだ、ジュエリーというと「難しくてどうしていいかわからない」「ハードルが高すぎて手が出せない」と、躊躇してしまう人が多いようです。ファッションはとてもおしゃれな人でさえ、「ジュエリーはわからないから着けない」と言います。

 もちろん、ジュエリーは高価だけに、何度も失敗が許されるものではありませんから、「難しい」「ハードルが高い」と思ってしまうのは無理もないことかもしれません。
でも、そんな思い込みを捨てて、かつての私のように少しずつコツをマスターしていけば、ジュエリー上手になるのは、ファッションよりずっと簡単!
ジュエリーがいかに着ける人を引き立ててくれるかを知らずに、「食わず嫌い」のままでいるのは、とてももったいないことだと思います。

 そこで『そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら』では、私が今までジュエリーディレクター、そしてジュエリースタイリストとしてジュエリーに関わってきて感じたこと、日々ファッションのスタイリングをする際に実践していること、心がけていることなど、私のジュエリー・ノウハウのすべてをまとめました。

「何か買ってみたいけれど、何を買っていいかわからない」というジュエリー初心者の方が、最初に買うのにおすすめのアイテム。すでにいくつか持っているジュエリー経験者だけれど、もっと上手に着けこなしたいという方が参考にできる、おしゃれな着け方のコツ。ほかにも、自分のレベルに合わせて取り入れられるハウツーや考え方を、いろいろ綴っています。
一人でも多くの方にとって、ジュエリーをもっと身近に感じ、楽しみ、素敵に輝いていただくためのヒントになれば幸いです。

伊藤美佐季(いとう・みさき)
ジュエリーディレクター、スタイリスト。ジュエリーの広報機関のPRを経てイタリア・フィレンツェに遊学、帰国後スタイリストに。つける人の個性を活かす洗練されたスタイリングは、女性誌のほか多くの女優からも支持されている。ジュエリーブランドへのアドバイス、ジュエリーに関する講演などでも活躍。