●大正駅、昭和駅、平成駅も…元号がついた駅名

 こうして4月30日までと5月1日以降で、何事もなく連番のきっぷが発行されることになった。元号表記だった頃は、改元後最初のきっぷや、「平成2年2月2日」など日付がゾロ目になるきっぷを収集する人もいたが、それも過去の文化となりそうだ。

 もっとも各社、ゴールデンウイークの外出も見込んで改元ビジネスには積極的だった。JR九州の「改元記念 全駅入場券セット」や「平成から令和へ!記念★乗り放題きっぷ」など、新元号や新天皇陛下の即位を記念した記念乗車券の発売や、京王電鉄の「京王ライナー 平成→令和号」や東武鉄道の臨時夜行列車「ありがとう平成・こんにちは令和号」など、改元の瞬間を車内で迎える特別列車の運行など、様々な企画が行われた。

 ちなみに元号が付く駅名は、JR西日本豊肥本線に「平成駅」、またJR東日本鶴見線に「昭和駅」、JR西日本大阪環状線と島原鉄道に「大正駅」が存在する。いずれも改元後に新元号にちなんで付けられた地名、企業名に由来する駅名だ。「明治駅」はないが、明治天皇そのものが由来となる「明治神宮前駅」は存在する。中野区では来年4月から「令和小学校」が誕生するそうだが、鉄道業界でも「令和」にあやかった新駅が誕生する日は遠くないかもしれない。

 きっぷからは元号が消えて行っているが、今後も元号が残りそうなジャンルが「鉄道整備計画」だ。元号法は元号の使用を義務付けていないが、公文書は慣例として元号を使用(西暦の併記は自由)することになっているため、国土交通省や地方自治体、特殊法人など公的な機関が進める計画のスケジュールには原則として元号が用いられてきた。そうなると改元時に避けられないのが「存在しない暦」の出現である。

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今も元号が使われる整備新幹線の計画書