難しいことや複雑なことを理解しようとする場合、何か別の既知の枠組みに当てはめたり関連づけたりできないかと考えるクセをつけましょう。

 既存の枠組みに関連させることですんなり理解できたり、新たに覚えなければいけないことの量を削減できたりします。

「○○とは『△△に似ているけど、この点だけ少し違うもの』である」という覚え方をすることで、簡潔にイメージして認識することができるのです。

 そのため、いろいろな分野の概念や、物事の仕組みのバリエーションを知っていればいるほど、別の新しいことを学ぶ際にそれらの仕組みを流用して理解の助けとすることができます。

 私はこれまで600以上の多岐にわたる分野の資格を取得していて、人からは「よくそんなに全然関連性のない分野の知識を大量に習得できますね」と言われますが、一見関連性がなさそうな分野にも、実は共通する要素というのは意外とあります。そのため資格マニアやクイズ王のような「いろいろな雑多な知識をもっている人」であればあるほど、また別のまったく新しい知識を吸収するのも早いのです。

 また、複雑な物事や抽象的な概念を、具体的にイメージするための助けとして「何か別の既知なもの」を流用することもできます。

 たとえば民法で決まっている「相続のルール」に関して、少し複雑な家族構成の相続事例について考える場合には、マンガやアニメに出てくる架空の家族構成を思い浮かべると簡潔に整理できます。

 実際に、サザエさんの家族を題材として相続のルールが学べる『磯野家の相続』という書籍が出ており、少し複雑な相続事例も「もし磯野家の家族で○○さんが亡くなったとしたら、相続人になるのは……」と具体的にイメージすることができるのです。

 初めて会った人の顔を覚える際にも、「目はこんな感じで、鼻はこんな感じで……」と顔のパーツの特徴を個別に覚えるより、「有名人の○○さんにちょっと似ている人」と覚えるほうが早いです。

 このような「○○と似ている」「○○とほぼ同じ」という覚え方は、言葉だけで表現しようとすると複雑になりすぎることを覚えるときに特に有効です。