石田真敏総務相から5G認定書の交付を受けた携帯4社の代表は、携帯料金値下げとともに5G設備投資にしのぎを削る Photo by Reiji Murai
石田真敏総務相から5G認定書の交付を受けた携帯4社の代表は、携帯料金値下げとともに5G設備投資にしのぎを削る Photo by Reiji Murai

 総務省は4月10日、第5世代通信規格「5G」の周波数について、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク楽天の4社に割り当てた。ソフトバンクだけ希望より少ない割り当てとなったのはなぜなのか。(ダイヤモンド編集部委嘱記者 村井令二)

 総務省は4月10日、第5世代通信規格「5G」の周波数について、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の4社に割り当てた。これにより5G設備の投資競争がスタートする。

 合計10枠の周波数のうち、スマートフォンに使いやすい6枠は、ドコモ、KDDIに各2枠、ソフトバンクと楽天に各1枠が割り当てられた。ドコモ、KDDI、楽天は希望通り。ソフトバンクは希望の2枠より1枠少なかった。なぜソフトバンクは“負けた”のだろうか。

 2019~24年度末までの6年間で5G設備投資は4社合計で1.6兆円。19年春からの携帯電話料金の値下げ競争が始まる中で、携帯4社にとっては5G設備投資をいかに抑えるかは経営の重要マターとなる。

 周波数割り当てに際し、各社は投資金額などの計画を事前に総務省へ申請しているが、それによると、ドコモが7950億円、KDDIが4667億円だったのに対し、ソフトバンクは2061億円、楽天は1961億円に抑制した。

 NECや富士通の旧電電ファミリーを抱え込んで独自の通信設備を敷設するドコモの投資額が突出しているが、ソフトバンクはその4分の1ほど。19年10月から携帯電話事業に参入する楽天は、ネットワークをソフトウェアで仮想化して設備コストを抑える方針を表明している。

 この結果、5Gのカバーエリアも各社でばらつきが出る見込みだ。

 総務省は、4Gまでは「人口カバー率」を携帯各社に求めていたが、5Gでは人口の少ない地域の普及も促し、日本全国を10キロメートル四方の4500区画に分けて、その区画をいかにカバーするかという基準を採用している。

「5G基盤展開率」と呼ぶこの基準によると、NTTドコモとKDDIの5年後のカバー率が90%超なのに対し、ソフトバンクは64%の計画にとどまる。新規参入の楽天のカバー率の56%に迫られるほど低い水準だ。

 総務省の発表によると、5G基盤展開率は周波数割り当て審査の重要項目の1つ。大手3社の中でソフトバンクの希望が通らなかったのは、これが大きく影響した。

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BtoBより個人狙うソフトバンク