ユーザーリサーチを経ないプロジェクトも含め、あらゆるビジネスの業界でデザイン思考が広がりつつあるのは、共創型の課題解決メソッドとしての汎用性の高さゆえだろう。また、ここ10年くらいでSNSやクラウドツールが普及し、誰とでも協働のしやすい環境が用意されている。

 プロトタイプをオンラインで素早くシェアし、それに対する瞬時のフィードバックを得ながら、再度、プロトタイピングのサイクルを回していけるという意味では、デザイン思考はより“現代向き”の発想法だとも言えるだろう。

佐宗邦威(さそう・くにたけ)

株式会社BIOTOPE代表/チーフ・ストラテジック・デザイナー。大学院大学至善館准教授/京都造形芸術大学創造学習センター客員教授。東京大学法学部卒業、イリノイ工科大学デザイン研究科(Master of Design Methods)修了。P&Gマーケティング部で「ファブリーズ」「レノア」などのヒット商品を担当後、「ジレット」のブランドマネージャーを務める。その後、ソニーに入社。同クリエイティブセンターにて全社の新規事業創出プログラム立ち上げなどに携わる。ソニー退社後、戦略デザインファーム「BIOTOPE」を起業。BtoC消費財のブランドデザインやハイテクR&Dのコンセプトデザイン、サービスデザインプロジェクトが得意領域。山本山、ぺんてる、NHKエデュケーショナル、クックパッド、NTTドコモ、東急電鉄、日本サッカー協会、ALEなど、バラエティ豊かな企業・組織のイノベーション支援を行っており、個人のビジョンを駆動力にした創造の方法論にも詳しい。著書に『直感と論理をつなぐ思考法――VISION DRIVEN』『21世紀のビジネスにデザイン思考が必要な理由』(クロスメディア・パブリッシング)がある。