「駅から遠いため、駐車場代が住宅ローンと別にかかる。もっと安くしてほしい」という価格交渉に応じて、売却を決めました。売却価格は購入価格から1750万円ダウンの3950万円です。

「10年経たないうちに、こんなに下がってしまうとは思いもしませんでした。今度は失敗したくありません」と、私のところに相談に見えたのでした。

【実話2】62平方メートルのマンションを買ったBさん

 30代のBさんの年収は約550万円。奥様も働いていましたが、妊娠がわかったことで、マンション探しを始めました。当初は「70平方メートル以上の3LDKしかない!」という思い込みもあり、「予算に合う広いマンション」を探していました。しかし駅から遠く、利便性が悪いマンションばかりでした。

 そこで「都心・駅近の資産価値が落ちないマンション」探しにシフトチェンジ。購入した物件は「62平方メートル・2LDK・駅徒歩4分・築10年(2002年完成)」のマンションです。2012年の購入価格は3900万円でしたが、現在(2019年)の売却想定価格はなんと4950万円。購入価格を1050万円も上回りました。

 物件を見てみると、リビングの広さやバスルームも3LDKと変わらず、シンプルに1部屋ないだけです。

 住宅ローン返済額は月々10万9637円、固定資産税・都市計画税の月負担分が1万円、ネット使用料込の管理費1万円、積立金6500円、月々支払い計13万6137円。想定賃料は18万円ですので、貸したとしても毎月4万3863円の黒字です。

「売ってよし」、「貸してよし」、(駅から近く、通勤・通学・買物が便利なため)「住んでよし」の典型的な勝ち組パターンになりました。

 今、Aさんのように「マンションを売ろうにもなかなか売れない」ケースが増えています。「せっかく買うのだから、広くてきれいなマンションがいい」と安易に考えると、生涯のお金を大きく失う可能性があるばかりか、人生の選択肢も狭まるかもしれません。

 その一方、Bさんのように「売ってよし・貸してよし・住んでよし」の3拍子そろったマンションを購入し、将来のお金に対する見通しが明るく、笑顔で過ごせる人もいます。

 AさんとBさん。なぜここまで差がついたのでしょうか。次回以降、その謎を解き明かします。

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【実話】60m2マンションを買った夫婦