「AIとRPAで帳票処理の8割を自動化、みずほ銀行が2019年春にも」

「電通社長、メモ見て即決、目を付けたのはPC業務を自動化するRPAだった」

「日本生命がRPA導入拡大、仕事を5倍速く、15%少なく」

「三井住友海上火災保険、18%効率化を目途にRPAを本格導入へ」

「RPA導入を先行した金融機関、作業時間が10分の1に」

 また、地方自治体の中で先導的な役割を担っているつくば市では、RPAの実証実験をして結果を以下の通り公開している。

 この実験は、2018年(1月~4月)に、市民税課や市民窓口課の電子申告書の印刷や異動届受理の通知など、5業務をソフトウェアのロボットでやることで、作業時間などをどの程度、削減できるかを実証したものだ。

 図表6は、つくば市の基幹系6業務で、40の作業があったものの、そのうち32作業がRPAで代替でき、人間がしなくてはならない作業は17作業だったことを示している。

 これは、もし基幹系6業務に100人を充てていたとすれば、そのうち32/(32+17)=65%、すなわち65人は不要になったことを示している。

 また銀行業界では、RPAにより人員を減らす動きが現れている。

 来春卒業の大学生の採用では、メガバンク3社は、一般職を合計900人の採用を減らすという。みずほフィナンシャルグループの場合、一般職は約7割減とのことだ(出典:朝日新聞2018年9月1日)。

 またメガバンクは、今後、AI導入を進めることによって3社合計で約3万人規模のリストラをすると発表している。

 銀行業界は、RPAの導入を急速に進めており、ルーティン業務の機械への代替は一気に進みそうだ。

 RPA業界では、これからの最大市場は、銀行業界と地方自治体だとのうわさがされている。この2業種は、ほとんど大部分が帳票業務などの「ルーティン業務」だからだ。

●どれぐらいのスピードで雇用減や格差が広がるか

 日本でこれから、AIなどに仕事や雇用がどの程度、代替され、経済格差がどこまで拡大するのだろうか。

 ▽日本で、IoT、AIなどのデジタル技術の導入により、今後、機械への代替や雇用者数の減少はどうなるか。

 ▽その結果、日本では米国の後を追う形で、どのようなスピードで、そしてどの程度の規模で経済格差が発生するか。

 この2点に関しては、入手可能な数字等に基づき、ある程度の幅はあるものの、かなりの精度をもって予測することが可能である。

 筆者の試算では、例えば、7年後の2025年を予測すれば、ルーティン業務量は今より7%程度減り、そうした業務を担う非正規雇用の約140万人程度が仕事を失うことが見込まれる。

 ただし、この数字はかなり控えめに見た予測だ。

(岩本晃一:経済産業研究所/日本生産性本部 上席研究員)