●FM802でも人気のDJが契約件数ゼロの経験でわかったこと

 私がなぜ、本書を書こうと思ったのかの原体験にもなりますが、少し、私の経験をお話しさせてください。

 私は、大学4年の時からラジオの仕事に夢中になり、卒業後は地元のラジオ局に入り、その後、大阪(FM802)、名古屋(FM愛知)、文化放送と、ラジオパーソナリティとして自身の番組を持って活動していました。

 しかし、31歳の時に帯の番組が突然終了したのです。当時はラジオDJとして生きていく自信を失い、放送以外の社会を全く知らない自分が、番組でも何を根拠に喋っているのかが分からなくなりました。

 そこで、社会勉強のためにビジネスの世界に飛び込み、まずは投資用不動産の営業マンとして第2の人生をスタートしました。

 私自身は、話すことを職業としていましたし、ラジオでは芸能人から文化人、経済人、一般のリスナーまで大勢の人とトークをした経験から、コミュニケーションには自信がありました。ですから、不動産も簡単に売れるだろうと高をくくっていたのです。

 しかし、現実はそう甘くはありません。
結果、入社してから365日間、売り上げゼロを経験し、プライドはズタズタになりました。いい大人がトイレの個室に入り、声を殺しながら悔し涙を流したこともありました。

 いくら、お客様と仲良くなっても、高額商品は売れないのです。

「相手に伝える」、その結果「相手に動いてもらう」には何が必要なのか? 私は一念発起して、いろいろな本を読み漁り、実践を繰り返し、自分なりの理論を導き出しました。
 その結果2年目には、年商500億円の会社で1位、つまりトップ営業となることができたのです。そして、それが縁で、お客様に誘われ眼鏡会社の役員に就任し、経営も含めたビジネスの基本を身に付けることができました。

 こうした経験から実感したのが、相手のキャラを見きわめて15秒で伝える必要性です。
 ラジオDJ時代に培った端的に伝える技術と、営業や経営、講師経験で身に付けた、相手のキャラを見きわめて伝える技術を掛け合わせることで、自分自身も大きく変わりました。

 独りよがりで長々と説明しても相手には伝わりません。
人を動かす言葉は、いつも端的。「15秒で伝える」力は、最大の武器になります。この武器を身に付け、是非、あなたも多くの人を動かし、成果を最大化させるビジネスパーソンになってください。

(羽田徹:話し方コンサルタント・トップ講師プロデューサー 株式会社web-school.tv代表取締役)