●学校をつくって社員を○○する

 世間では、《人手不足倒産》が話題となっていますが、採用のために学校まで建ててしまったのは、株式会社リビアス(理美容・大阪府)の大西昌宏社長です。

 リビアスは積極的な店舗展開を行い、売上を7年で3倍に伸ばした。

 現在、店舗数は全国で254ですが、直営店を毎年25店ペースで増やしていき、フランチャイズ店を含め今後5年で500店舗以上を目指す計画です。

 この勢いを支えているのが、自前の理容師美容師養成校です。

 理容師や美容師は国家資格。従来は文部科学省管轄の専門学校を卒業しないと資格が取れませんでしたが、規制緩和で厚生労働省管轄の理容師美容師養成校でも試験に合格すれば資格を取れるようになりました。

 大西社長は、その養成校を初期費用約6000万円でつくった。仕組みはこうです。

 リビアスは、理美容師になりたい学生を社員として雇用。昼間は養成校で資格取得の勉強をして、平日は夕方から約3時間、週末はフルタイムで店舗で働いてもらう。

 社員なので給料が出て、初任給は約20万円。一方、学費は2年間で150万円。2年間の給料約480万円から学費を差し引くと、330万円が残る(学費は月2万~3万円の分割払い可なので、資格取得前も生活費は十分に残る)。

 専門学校に通うと、学費で300万~400万円(2年間)かかります。それに対して、リビアスは勉強しながら逆にお金がもらえる。だから、理美容師志望の学生がどんどん集まってくる。

 養成校設立の初期費用と、資格取得前に2年間払い続ける給料を考えると、相当な額の投資になります。

 しかし、人材供給が安定して出店スピートが増した効果で、直近の売上は36億円で、億単位で増えている。

 もう十分に元が取れています。

 採用対象になる学生をお金で直接釣る手もあれば、社員紹介制度や学校設立など採用の仕組みにお金をかけて人手を確保する方法もあります。

 自社の状況に合わせて、最も効果的なお金の使い方を考えたいところです。

小山 昇(こやま・のぼる)
株式会社武蔵野代表取締役社長
「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を16年連続増収の優良企業に育てる。2001年から同社の経営の仕組みを紹介する「経営サポート事業」を展開。2017年にはJR新宿ミライナタワーにもセミナールームをオープンさせた。 現在、「数字は人格、お金は愛」をモットーに、700社以上の会員企業を指導。5社に1社が過去最高益、倒産企業ゼロとなっているほか、「実践経営塾」「実践幹部塾」「経営計画書セミナー」など、全国各地で年間240回以上の講演・セミナーを開催。

 1999年「電子メッセージング協議会会長賞」、2001年度「経済産業大臣賞」、2004年度、経済産業省が推進する「IT経営百選最優秀賞」をそれぞれ受賞。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。

 2004年からスタートした、3日で108万円の現場研修プログラム(=1日36万円の「かばん持ち」)が話題となり、現在2年待ちの人気となっている。

『数字は人格』 『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『残業ゼロがすべてを解決する』(以上、ダイヤモンド社)『99%の社長が知らない銀行とお金の話』(あさ出版)『改訂3版 仕事ができる人の心得』(CCCメディアハウス)などベスト&ロングセラー多数。