どうせ趣味を作るのであれば、マンボウの遭遇が欲しい。あまりにメジャーな趣味は商業化されていて、とっつきやすいのですが、何となく手のひらの上で転がされている感が否めません。

 さらに、メジャーな趣味にはどこにでもものすごい人がいて、その人を頂点とするヒエラルキーが形成されている場合が少なくありません。組織が好きな人はいいですが、そうでなければ避けたほうがいいと思います。しかも、最後は財力がものをいいますから、妙な挫折感を味わう場合もあるでしょう。我々ではどうしても限界があるのです。

 だから、空間的な広がりがあり、時間的な奥行きもあるマイナーな趣味。「へえ~」と斜めに見られがちなコレクションのほうがいい。そんなふうに思います。

 定年前になって自然発生的に芽生える新たな強い興味などというものは、そうはないでしょう。今は無趣味、多趣味だけど浅い、加えて、はたと膝を打つ昔の夢もないとすれば、そろそろ意図的に、戦略的に趣味選びを始めるのはどうでしょうか。

屋外も屋内も絡めて楽しめる趣味。旅行などの行動が伴うもの。興味深いストーリーや歴史が垣間見えるもの。

 そしていずれは出版にも挑戦する。いきなりは無理にしても、ブログを書き、SNSに投稿する。そうやって自分のコレクションや考えを整理するとともに、広く発信する。発表の場があるということは素晴らしいことです。生きがいになります。

 前述したように、同好の士も集まってくるかもしれません。出版社の編集者もそうしたものを必死にリサーチしているご時世ですから、面白い内容であれば、突然メールがやってくるかもしれません。

 たかが趣味と侮るなかれ。あなたの人生を彩る、とても重要な要素であると考えてください。

明治大学専門職大学院グローバル・ビジネス研究科教授 野田 稔)