一番大きな違いは、仕事の「ゴール」でした。

 リクルート時代のゴールは、「ご契約」をいただくことだったように思います。しかし、プルデンシャル生命の仕事のゴールは「ご紹介」をいただくことです。ご加入いただいたお客さまに、保険の話ができる方をご紹介いただいて、またその人にご紹介していただき、お客さまの輪を広げていく。そんな仕事です。

 現在、私はご紹介だけで、約2600人のお客さまを担当させていただくに至っています。 

「契約」であれば、「損得」でたどり着けることもあります。「こっちのほうが安いから」「今、買わないと損だから」などといった理由で。でも「紹介」となると、そうはいきません。「損得」で商品は買ってはくれても、人を紹介するとなると、「ほかの要素」が必要となってきます。

 では、何が必要なのでしょうか。
 それが「お客さまの心を動かすこと」なのです。
 小さくてもいいから、お客さまに「感動」を提供することです。
 なぜなら、人は、心を動かされたときに、それを別の誰かに伝えたくなるものだからです。

私はいま、営業活動のかたわら、「本当の顧客満足とは」「紹介をしてもらえる営業」「お客様に感動を与える営業」などをテーマに、たくさんの企業から講演のご依頼をいただくようになり、全国各地の会社で、毎年40回ほどの講演を行っています。すると、不思議なことが起こります。

「まさに社員に伝えたかったことを話していただきました。ありがとうございました」

 講演が終わると、ほとんどの経営者の方から、そういって感謝されます。
 また、現場の方々からは、こんなお手紙をいただくのです。

「社長がいつも言っていることの意味が、やっとわかりました!」

 レストラン、ショップ、ホテルなどのサービス業、自動車、薬品、お菓子のメーカー。建設会社や不動産会社、さらには銀行、弁護士、税理士まで?。講演する業種も規模もまったく異なりますが、どの会社に行っても、私は同じ話をしています。最初は、同じようなお礼や感想の言葉をいただくことが不思議でしたが、その理由がわかってきました。

 実は、どんな会社や職種でも「大切なこと」は同じなのです。

 私はこれまで1000人以上の経営者と出会い、800社くらいの企業を見てきました。伸びている会社、繁盛しているお店、売れている商品には、すべて共通点がありました。そして、それは私が営業現場で大切にしていることと一緒だったのです。

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『だから、また行きたくなる。』では…