河端 単語を覚えるときによくやりがちなのが、単語カードを作って、通学途中の電車のなかなどでペラペラとめくること。あれはダメ。単語を覚えるにしても、机に向かってやった方がいい。単語を覚えることも勉強ですから、きちんと時間を取って集中してやるべきなんです。

佐藤 私もそう思います。

河端 あらかじめ範囲を決めて単語を覚えて、小テストで確認する。これを繰り返し行えば、味気ない単語の学習も着実に進みます。単語に限らず、勉強のやり方そのものが間違っているお子さんは多いです。

佐藤 そうそう、やり方を間違えていますよね。スケジュールを立てるのでも、「夏休みまでに40日」と日数で考えると余裕があるような気がしてしまいますが、それは大きな間違い。40日から睡眠時間や学校で授業を受ける時間を差し引くと、実際の勉強時間は20日分もなかったりします。

 私は「分に直せ」と言っています。残り時間を何日でも何時間でもなく何分で表すと、受験までの時間がいかに短いかよくわかります。時間が指の間からサラサラと砂のように漏れていくことが実感できるはず。スマホなんかやっている場合じゃないって気づきますよ。

理系でも文系でも算数・数学は大事 小学生ならほとんどの時間を算数に充てたい

河端 佐藤さん、東大の入試では数学の比重が圧倒的に大きくなっていますよね。

佐藤 そうですね。

河端 したがって小学生のうちから、算数に力を入れた方がいい。私は勉強時間の半分を算数に充てるくらいでもいいと考えていますが、いかがでしょうか。

佐藤 私もそう思います。算数は積み重ねが必要な科目で、まず基礎ができていないとその後も続かない。そして理科を勉強するにも算数は必要です。ですから小学校低学年では、算数に8割ぐらいの時間を費やしてもいいかもしれません。理想的には小学校に入る6歳までに、1桁の計算はできるようにしておいた方がいいですね。それも「3足す8は?」と聞いて反射的に答えられるくらいに。

河端 九九のようにパッと答えが出てくるように、ですね。優秀な人が多いと言われるインド人は、学校で2桁の掛け算も教わるといいます。日本の生徒も九九だけでなく、2桁の掛け算を暗記しておけば役に立つはず。たとえば25×25を、覚えているのといないのとでは大きな違い。計算スピードが早ければ受験でも明確に差を付けることができます。文系の受験においても数学が得意な子は非常に有利です。

佐藤 私の子どもたちに医学部でどんな勉強をしているか聞いたら、数学なんか全然使わないでひたすら暗記だそうです。でも、論理的な考え方を求められることはあって、そのベースを培ったのはやっぱり算数・数学かなって言っています。だから数学は大切。もし、小学校高学年のお子さんが算数を苦手としているなら、1、2年生の計算まで戻って、パッと答えを出せるようになるまで繰り返し練習した方がいいです。

子どもの学力が大きく低下している今、親子でどう乗り切るか?<佐藤ママ×河端学院長 特別対談>へつづく