●地方から世界に飛躍する企業が40~50代を含む、東京の高度人材を獲得している

一方、ポジティブな動きも見かけるようになっています。

 地方では大都市圏や、さらには東京を飛び越え一気にグローバル市場へ切り込もうとするサムライ経営者が登場するようになってもいます。多いのは北海道や九州で、海外と距離が近かったりインバウンドで日常的に外国人と接したりするなかでグローバルな感覚を身に付けているのだと思います。

 そうした企業からは「バイリンガルや外国人が欲しい」とのオーダーをたくさんいただきます。観光やビジネスで多くの外国人が来ているので、まずBtoCに対応できる人材が欲しいというわけです。

 そして「大都市圏で多店舗展開できる人材が欲しい」「海外市場を開拓できる人材はいないだろうか」といった高度人材の引き合いも増えています。こうした人材は地方にはあまりいないので、自ずと東京で探し地方企業に送り込む形になります。直近では、役員候補として年収1200万円で決定した人がいます。待遇も悪くありません。

 最近は地方のある成長企業が同業大手の社長経験者をスカウトする、という事例が生まれました。こういう事例が増えると「地方に移ってのんびり働く」といった従来のUターン・Iターン転職のイメージは塗り替えられてくるかもしれません。

 また、東京に住む40代~50代の人材が地方企業に転職する事例も目立つようになっています。背景には地方ではさまざまな領域で人材が足りないことが多いため年齢が高くても引き合いがあると共に、この世代では子育てが一段落して人材の側も動きやすくなっている人が多いという事情があります。

 要は地方にはシニア人材が活躍するチャンスが増えている、状況なのです。

 40歳から50歳くらいになってくると、嫌でも会社における自分の行く末が見えてきます。中には会社のメインストリームから外されている人もいるでしょう。そのまま今の会社で禄を食みながら定年退職を待つのも一つの人生ですが、自分の経験と能力を求めてくれる場所で力を発揮し、もう一花も二花も咲かせるチャレンジをすることもぜひ考えていただきたいと思います。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)