(写真/週刊ダイヤモンド編集部)
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【図版】(作成/週刊ダイヤモンド編集部)
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 ヤマトホールディングスが働き方改革に着手して1年。巧みな情報戦術で世間の同情を買い、改革は成功したかに見えた。だが、さらに高いノルマが課された現場は混乱に陥っています。内部資料と現場社員の証言から、その苛酷な労働実態が浮かび上がりました。

 まずは、以下のメールを見てほしい(【図版】)。

「怒鳴りますよ。絶対許しません」──。パワハラまがいの言葉で終わるメールの送り主は、ヤマトの集配拠点であるセンターを束ねるエリア支店長。宛先は管轄下にあるセンター数箇所である。

 内容はこうだ。昨年に比べてセールスドライバーの時間当たりの配達個数が減っており、生産性が落ちている。生産性を上げるにはドライバーの稼働時間を制限する手段があるが、そうすると少人数で荷物を運ばなければならず、極端に業務量が増えてしまう。

 それが嫌なら、もう一つの手段、外部業者に委託する荷物を減らせ。そうすれば多少の負担は増えるが、生産性を上げられる。だから委託個数を上限100個にし、残りは現状の戦力で励め──。

「はっきり言ってめちゃくちゃだよ」。このメールを送りつけられた社員は、あきれ顔でこう吐き捨てる。

 センターには毎日、大量の荷物が集まり、ドライバーは1日平均130個もの荷物を届けている。一方、十分な人員増強はなされず、再配達の回数も多いままだ。

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働き方改革が完全に裏目に出ている