医者になる抜け道とは…?(※写真はイメージ)
医者になる抜け道とは…?(※写真はイメージ)
編入で20人も募集する東海大学医学部 Photo:時事通信フォト/朝日航洋
編入で20人も募集する東海大学医学部 Photo:時事通信フォト/朝日航洋
【図表1】
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【図表2】
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【図表3】
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 憧れの東京医科歯科大学、大阪大学医学部へ行きたかった──。そんな願いを実現できる裏技が実はある。今、社会人を経て医師を目指す人の抜け道として注目されているのが「医学部編入」だ。(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 西田浩史)

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 2017年6月10日、東海大学医学部の編入試験の2次試験日──。

 大阪市のある予備校には、受験を終えた学生が溢れていた。

 そこで時間講師として関わるSさん。彼もまた、大阪教育大学卒業後、中学校の社会科教員を経て医学部に編入し、医師になった。

 高校時代にアニメで知った精神科医に憧れていたものの、数学と生物がまるで苦手。英語が得意であった程度で、現役時代は医学部受験など、まったく考えていなかったという。

 しかし、友人から医学部への編入ができることを聞き、猛勉強の末、島根大学医学部編入試験に、見事合格。現在は、神戸市内の病院で精神科医として働いている。

 近年、一般入試による医学部合格のハードルはかなり高い。

 国公立大学の医学部入学を目指すなら、東大理科1類に合格する以上の学力が必要で、私立大学の医学部でも早稲田大学、慶應義塾大学の理工学部の難易度を優に超えている。理系を専攻している学生の中でも、よりすぐりの秀才たちが目指す職業が「医師」なのだ。

 そんな中、知る人ぞ知る医師になるための「抜け道」が、Sさんがチャレンジした「医学部編入」だ。こちらも決して簡単とはいえないが、一般入試に比べて科目が少なく、医師になれなかった社会人や予備校関係者の間で、注目されつつある。

●私立より国公立が狙い目か

 最難関の医学部を目指すにはいくつかの方法がある。まずは、高校生や浪人生からの入学を目指す方法が第一。

 次に、いったんは医学部以外の他の大学に入学したものの退学か卒業した後に、再度、医学部の1年生として入学を目指す「再受験組」だ。これまではこの二つの方法が主流だった。

 編入は、第三の方法といえ、大学を卒業後、医学部に途中の学年から入学する。ちなみに、前述の一般入試の再受験組でも、一つ目の大学を卒業していれば、再受験と編入の併願ができる。

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注意したいのは私立と国公立で大きく事情が異なること。