尾原:尾原はそうやったほうが結果を出すとみんなが認知してくれていたから、できたわけです。当時の上司も、ぼくにきっちりした仕事をさせようと、何度か試してくれたんですよ。でも、ことごとくダメで(笑)。そのかわり、アライアンスの話とか、新しいネタを持ってこさせるとか、新しいことを他の部署にわかりやすく説明するということをやらせると、尾原はちゃんと結果を出すということを上が認知してくれたんです。そのあとは、得意な仕事だけをやらせてもらえるようになりました。

けんすう:ぼくもリクルートにいる時は「古川くんの特殊な働き方について」みたいな感じで上司が会議をしてたくらい、変な働き方を試していました。働く場所を「午前中は家、午後はオフィス、夕方からカフェにする」みたいに1日で3回かえてみたり。あと、インターネットでたくさん遊んでいました。ブログ書いたり、サービスを作ったりとか。

尾原:どうしてみんなはオッケーと言ってくれたわけ?

けんすう:オッケーと思っていたかどうかはわからないです(笑)。しょうがないなとは思ったんじゃないですかね。リクルートは、その人のキャラを活かして成果をあげるというところに対して、すごい寛容ですよね。

尾原:そういえば、ぼくも、うちの部署の女性社員全員に呼び出されて2時間くらい弾劾裁判されたことがあります。「尾原さんは言ったことをやらない。女性を軽んじているんじゃないか」と怒られて。

 最初はなんで怒られているのか全然わからなかったけど、「この日までに書類を仕上げてください」と言われてもやっていないのに、別のところで男の人と新しいプロジェクトをキャッキャとやっていることを怒られているのがわかって。「ごめん、男だから女だからじゃなくて、〆切を守るということがホントにできないんだよ」という話をコンコンとしたんですよ。最後は「尾原さんは本当にダメなんですね」とみんなわかってくれて、「しょうがないな」と2時間後にどうにか解散、となったわけです。

けんすう:別に相手が女性だから軽んじているんじゃなくて、相手が誰であろうと締め切りを守らないだけ、ということですね。

尾原:リクルートはもともと週刊誌をつくっていた会社ですから、進行管理はしっかりしていて、タイムマネジメントが得意な女性が多かったということもあるかもしれません。

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仕事が速ければたいていのことは許される