「勉強し過ぎたAI」は汎化がきかない?(※写真はイメージ)
「勉強し過ぎたAI」は汎化がきかない?(※写真はイメージ)

 注目のエンターテイメント小説『マルチナ、永遠のAI。――AIと仮想通貨時代をどう生きるか』が出版され話題となっている。

 実物通貨と仮想通貨、日常と非日常、ヒトとAIの境界線がどんどんなくなりつつある今、私たちはどうやって生きていけばいいのか?

 2000年代中盤から「AI」と「IoT」を研究し続けてきた大村氏の特別寄稿をお送りしよう。(構成・寺田庸二)

●「勉強し過ぎたAI」は汎化がきかない?まずは「汎化」を理解しよう

 AIの種類には、大別して「特化型」と「汎化型」があります。

 たとえば、2017年の第二期電王戦で佐藤天彦名人を破った「ポナンザ」は将棋に特化したAIです。

 もはや人間はポナンザには勝てませんが、逆に言えば、ポナンザは将棋しかできません。

 一方で、「汎化(はんか)型」と呼ばれるAIもあります。

 これは、多種多様な分野に応用が利くAIのことですが、「多種多様」とは言っても、会話もできて、自動車に搭載すれば無人運転もできて、料理もできてとなんでもできるわけではもちろんありません。

 たとえばですが、広告の費用対効果を測定して、かつ、その結果について人間とミーティングができる(会話ができる)となれば、これはもはや立派な汎化型AIです。

 すなわち、1つのAIであれもこれもできるというわけではありませんが、人間の脳を模した全能型のAIであれば、ある程度はさまざまなことができるようになるのが最終目標になります。

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「汎化」ってなんだ?