●腸の悪玉菌を増やさないためにたっぷりの野菜と一緒に食べる

 私がステーキを食べる頻度を週2回にするのには、理由があります。それは、肉によって腸が汚れるのを防ぐためです。

 肉が腸の中で腐敗しやすい物質であることは確かなことです。腐敗菌である悪玉菌は、動物性の脂肪やタンパク質が大好物だからです。毎日のように頻繁に大量に食べていると、腸内で悪玉菌が大繁殖して、毒性物質をつくり出します。この毒性物質が体内に入り込むと、内臓諸器官の細胞を傷つけ、がん細胞を生み出したり、老化を促進したりする原因になります。

 しかし、週2回、すなわち3日に1度くらいの頻度であれば、腸を汚す心配はさほどなくなります。なおかつ、ステーキはたっぷりの野菜と一緒に食べていれば、悪玉菌が異常に繁殖する心配はまるでなくなります。腸内細菌たちにとって最大のごちそうとは、野菜に含まれる食物繊維だからです。

 食物繊維が大好物であることは、悪玉菌にとっても同じです。しかも、ありがたいことに、食物繊維をエサとしていると、悪玉菌は異常繁殖することも、毒性物質を放散することもないとわかっています。さらに、私たちの体に不可欠なビタミン類を合成し、外敵をいち早く倒しに向かう番兵のような働きまでしてくれるのです。

 食物繊維には2つのタイプがあります。水に溶ける水溶性のものと、水に溶けない不溶性のものです。腸内細菌がより好むのは水溶性のタイプです。水溶性の食物繊維は、昆布やワカメなどの海藻類のほか、コンニャクにも含まれます。インゲン豆や小豆、大豆、ヒヨコ豆、エンドウ豆などの豆類のほか、エシャロット、ニンニク、ゴボウ、キャベツ、アボカド、梅干しなどにも多く入っています。また、納豆やオクラ、モロヘイヤ、サトイモなどネバネバした食品にも豊富です。

 私はステーキを食べるときには、これらの野菜を使ったサラダをたっぷりと食べ、悪玉菌も「善玉化」させるよう心がけています。 (藤田紘一郎:東京医科歯科大学名誉教授)