心房細動や高血圧など脳梗塞に直結する病気は、適切に治療する必要があります。また糖尿病も動脈硬化を進めるのでリスクが高いといえます。

「どの病気も薬の種類が増えて管理しやすくなっています。医師と相談し適切に治療してください」

■内科治療 発症後4時間半以内ならrt‐PA 複数の薬を使い分ける

 脳梗塞の治療は主に薬を使った内科治療で、発症からの経過時間や脳梗塞のタイプによって複数の薬を使い分けます。発症から2週間までの急性期には点滴で投与されることがほとんどです。

◯血栓溶解療法

 Rt‐PA(アルテプラーゼ)という薬を1時間かけて点滴で投与し、血管に詰まった血栓を溶かして血流を改善させ、脳細胞の壊死を最小限に食い止める方法です。どのタイプの脳梗塞にも使用できます。

 ただし、この薬を使えるのは発症から4時間半以内に点滴を開始できる場合に限られます。それ以上の時間が経過すると脳細胞の壊死が進んで血管がもろくなり、脳出血を起こす危険性があるためです。

「発症時間がわからない場合や、4時間半以内であっても過去1カ月以内に脳梗塞を起こした人、胸部大動脈解離が疑われる人、過去1カ月以内に何か手術を受けた人、心房細動があってワルファリンやNOACという抗凝固薬を服用している人などは、この治療をおこなうことができません」(森田医師)

◯抗凝固療法

 血液を固まりやすくする物質の働きを抑えて血栓ができるのを予防します。ヘパリンはどのタイプの脳梗塞にも使用できます。

◯抗血小板療法

 血液を固める血小板の働きを抑えて血栓を予防し、血流を改善させます。オザグレルの点滴あるいはアスピリンなどを服用します。

◯抗浮腫療法

 脳梗塞の発症から1~2日経過すると、脳の神経細胞や血管にむくみ(浮腫)が起こり、頭蓋内圧が上昇します。その影響で後遺症が重くなり、命にかかわるのを防ぎます。

 グリセロールは血中浸透圧を上げてむくみの水分を血管内に移動させ、利尿作用で体外に排出することでむくみを抑えます。

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外科治療でできることは?