国策研究会がこうした保守人脈の交流の場となっており、財界における保守勢力の維持・拡大の舞台装置として機能してきたわけである。

 保守系の財界クラブとなっている団体は他にもある。例えば、旧陸軍出身者の経済クラブである「同台経済懇話会」がそれだ。

 旧陸軍の士官学校および経理学校、幼年学校、そして防衛大学校を卒業して企業や団体、官庁など経済界で活躍している有志のために、大手企業の財界人が中心になって75年に設立された

●同台経済懇話会の講師役にも 歴代首相や財界の重鎮がずらり

 初代の代表幹事は元大本営参謀の瀬島龍三氏。創設の趣旨では、「命を懸けて君国のために報じたエリートの集団としての伝統を引き継ぐ」とうたっており、かつて国家を率いたプライドがにじむ。

 創立総会では、元首相の福田赳夫氏が特別講演しており、以後、岸氏、中曽根康弘氏、海部俊樹氏、宮沢喜一氏、羽田孜氏、鳩山由紀夫氏ら多くの首相経験者が講師を務めてきた。

 財界との交流も図られ、松下幸之助氏(松下電器産業)、本田宗一郎氏(ホンダ)、盛田昭夫氏(ソニー)、堀田庄三氏(住友銀行)、小山五郎氏(三井銀行)、江戸英雄氏(三井不動産)、稲盛和夫氏(京セラ)など名だたる財界人が過去に講師を務めた。

 日本の右傾化が指摘される中、最近は積極的に発言、行動する右派団体が増えている。一方で、財界人が多く所属する保守系団体が表に出ることはほとんどない。むしろ指導層と結び付きながら、国益のために水面下で行動する傾向が強いといえる。