●KENNEDYが破産 集客力で成り立つ低価格モデルの宿命

 では、肉を安く提供しさえすれば消費者は飛び付くのか。いや、外食はそんなに生易しいものではない。

 成長性の高さから株式市場でペッパーフードサービスと共に注目銘柄になっているステーキ・ハンバーグレストランのブロンコビリー。同社はレストランの顧客総合満足率で4位にランクインしているが、かつて低価格化で顧客離れの地獄を見た。

 来年に創業40周年を迎える老舗は1990年代後半、デフレ時代の真っただ中に、他の外食チェーンと横並びでマスの層を狙う低価格路線に走った。それまでの炭火焼きをやめて安定して焼けるグリルを導入し、サラダバーの代わりにドリンクバーを設けた。客単価は半減、900円台にまで落ちた。

 大量出店で売り上げこそ伸びたが、1店舗当たりの客数は伸びない。原価をコントロールすることで採算は取れたが、2001年の狂牛病騒動で客数が急減。創業来最大の経営危機に陥って、目が覚めた。

 客はブロンコビリーに安さを求めているのではなく、炭焼きステーキやサラダバーを含めたオリジナリティーを支持していたのだと再認識。低価格路線と決別した。スタイルを元に戻し、さらに磨きをかける改革を進めたことで、客足が戻った。

 ブロンコビリーのように戦略の見直しが間に合わなかったのが、低価格ステーキチェーンのKENNEDYを、首都圏を中心に約30店展開していたステークスだ。資金繰りがつかなくなって10月に営業を停止、東京地方裁判所に破産を申請した。

「出店による過去の投資が重く、その分のキャッシュを稼げず、投資と回収のバランスがおかしくなった。半額セールなどを重ねたが客が付かずに客単価が落ち、悪循環に陥った」と原田三寛・東京商工リサーチ情報本部情報部部長。他チェーンとの競争にさらされ、この数年は売り上げが落ち込んでいた。

 原価率の高いものを低価格で提供するというモデルは、集客力を持って高回転させることで成立するもの。集客力が落ちれば、途端にモデルは崩壊する。そんな危険性もはらんでいるのだ。