●入場料は値上げしたけど 値段分の価値はない

 スーパースポーツやプレステージクラスのようなドリームカーブランドが出品せず、地元の日本勢、主催者である自工会に至るまで“手抜きのオンパレード”となった東京モーターショー。

 それでも無料、ないし入場料500円くらいで見せるというのであれば、これもありだろう。しかし、この内容で入場料をむしろ値上げし、1800円も取るというのだから、心臓が強いことこのうえない。

 自工会関係者の一人は、「映画も1800円なのだから…」と値段の根拠を言い放ったという。が、映画だってハズレの作品を見たときには「金を返せ」という気分になるものだ。

 2年前の前回、東京モーターショーはその前の回から入場者を9万人も減らし、81万人にとどまった。このときも展示内容が低調な中、マツダが「RX-VISION」という流麗なデザインのロータリースポーツコンセプトを出品して注目を集め、「あれがなければ80万人さえ割っていたと思う」と、当時の自工会会長企業だったホンダ関係者が胸をなでおろしたくらいだった。

 今回はその悪評を跳ね返さなければならない回のはずだったのだが、入場料が値上げになったにもかかわらず、“内容の貧相さ”にはむしろ磨きがかかった格好だ。

 今の日本は若者にとどまらず、ユーザーのクルマ離れが懸念されているという状況である。クルマの購入意欲が比較的高い団塊世代が高齢化でクルマから降りたあかつきには、「どこまで市場が縮小するかわからない」と危惧する声が出ているくらいだ。

 そのユーザーにクルマに興味を持ってもらうためのものであるはずの東京モーターショーに、高い入場料を払って行った人が貧相なコンテンツを見せられたら、どういう感想を持つだろうか。

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