Photo by Koichiro Imoto
Photo by Koichiro Imoto

 東京モーターショーが開幕した。展示場を回っての印象は、“手抜き感”が満載で貧相なブースや張りぼてのようなコンセプトカーが目立ち、見に来てくれた人を楽しませようという気概が感じられない「究極のコストダウンショー」。これでは東京モーターショーの衰退は止まらない。

●会場の印象は 「究極のコストダウンショー」

 日本自動車工業会主催の東京モーターショーはもういらないんじゃないか――。

 報道公開日の2日間、東京モーターショー会場の国際展示場を回って抱いた率直な感想だった。

 海外勢はドイツ、フランス勢など一部を除き、日本で販売している海外ブランドにもスルーされ、国際モーターショーの命である多様性はまるでなし。日本ブランドも自工会会長企業である日産自動車をはじめ、ショーにかける情熱は往年とは比べ物にならないほど希薄。よく、日本ユーザーのクルマ離れと言われるが、これでは「自動車メーカーの日本離れ」である。

 会場の印象を一言で言えば、「究極のコストダウンショー」。

 ブースのつくりからコンセプトカーをはじめとする出品内容まで、何もかもが安普請なのである。

 東京モーターショーはかつて、2階建てブースの建設が規制されていた。が、それでは国際モーターショーにふさわしい演出ができないということで、97年に2階建てブースが解禁されたという経緯がある。

 以後、会場はクルマを上方から見られる空中回廊を仕立てたり、立体展示が行われたりと、独創性に富んだ演出の饗宴が展開されるようになった。

 ところが今や、規制などなくとも2階建てブースはほとんどなく、大半のメーカーは平置き。それどころか、ブースを囲うパネルも高さをケチったものが多く、天井や背面の壁がモロ見え。制作費の安いドラマのセットもびっくりの寒々しさだ。

 コンテンツが充実していれば、そんなブースの“貧相さ”も気にならないというものだが、肝心の中身の“ケチり方”はブース以上のものがあった。日本メーカーは各社、とりあえずワールドプレミア(世界初公開)モデルを出している。が、内容的には悲惨なものだ。

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