対照的に、秋商戦で新料金プランを出さなかったドコモ。「料金プランはiPhoneだけのためにあるわけではない。今回は出すタイミングではなかった」と語る田畑智也料金制度室長が意識するのは、「シンプルで分かりやすい」料金プランにすることだ。

 例えばiPhone8の端末価格は、機種変更、新規契約、他社からの番号乗り換え(MNP)共に全て同一。auはMNP、ソフトバンクは新規とMNPで機種変更よりも割安にした点と比べると、顧客獲得よりも、既存のドコモユーザーへの“公平さ”を重視していることがうかがえる。

 48回払いについても、「他社の単純追随の良しあしを判断し、まねしなかった」(田畑室長)。代わりに対抗策として打ち出したのが、1年で端末を返却して機種変更した場合、最大で4万円分のポイントを還元するプラン。機種変更をしなくても特段デメリットはなく、無料なので、取りあえず加入しておいて損がないプランだ。

 iPhone8の発売に合わせて工夫を凝らす3社。ただ、11月にiPhoneX(テン)の発売が控えているため、肝心の8の出足は鈍く、「今年は動きが読めない」と各社は頭を悩ませる。

 また、3社とも早期の機種変更を推奨している点は、「毎年新機種を売りたいアップルへの配慮」と業界では受け止められている。秋商戦でアップルに振り回される状況は当面続きそうだ。