その代表的な事件が、天安門中指写真謝罪事件だ。これは、中国のアーティストが天安門に中指を立てる、いわゆる「ファックユー」ポーズをとった写真をSNSに投稿。この写真に水原希子が「いいね」したのを中国人ユーザーに発見され、大バッシング騒動になった。これに対して水原は、中国人に向けて、約5分間の謝罪動画をネットにアップ。その動画の中で水原は、「父親がアメリカ人で、母親は韓国人。自分は日本人ではない」と説明。これがネトウヨ陣営からは「(中国人に対して)日本人じゃないから許して」とアピールしたと捉えられ、批判が殺到したというワケだ。

 また彼女は、「畳に土足事件」も引き起こしている。これは韓国のファッション誌の撮影で、畳の部屋の中で靴を履いたままポーズをとって写真撮影。雑誌掲載のほか、水原も自身のSNSに写真をアップしている。「土足で踏みにじる」や「土足で踏み込む」という日本語表現に見られるように、「土足」は日本人にとって最も侮蔑的な表現要素のひとつである。したがって、このような写真に日本の保守的な感覚を持つ人間が嫌悪感を持つのは当然で、批判が殺到した。

 このように、水原希子という人は、ネトウヨを筆頭に日本の保守層から批判を受けてきた人なのだ。今回のサントリーの失敗は、そんな人物をキャラクターに起用したキャンペーンをtwitterに投稿したことだと思う。

 twitterはいまや、ネトウヨとパヨク(左翼に対する蔑称)の壮絶な戦いの場になっている。右翼と左翼が主張し合う、議論するというより、ほとんど罵り合うかのような場なのだ。そこが同じSNSと言っても、FacebookやInstagramとはまったく違うところである。ネトウヨはネトウヨで、パヨクはパヨクで、相手を攻撃したり、自分たちの意見を声高に主張したりできる機会やネタを常に虎視眈々と狙っているような場であるのだ。

 そんなところに、ネトウヨから付け狙われているような人物を起用したキャンペーン投稿するなど、まさに燃料投下でしかなかったわけだ。もしこれが、同じSNS投稿でも、FacebookやInstagramだけでやっていれば、もう少し事態は変わっていたかもしれない。しかしtwitterは違う。炎上は必然だったと言えるだろう。

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