わずか30数年で8兆円企業を誕生させたソフトバンク。なぜソフトバンクにはそれが可能だったのか。それは、PDCAを超スピードで回す「高速PDCA」の手法があったからだ。
9年にわたり孫社長の右腕として活躍した元ソフトバンク社長室長・三木雄信氏の話題の本『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』から一部抜粋して紹介する。

●なぜどんな事業でも、成功しやすいのか?

 何か新しいプロジェクトを始めるとき、多くの会社では、綿密に計画を練り上げ、「これならいける!」と社内で了解された、たった1つの計画を実行します。これは、リスクを最小限に減らすためのプロセスと言えるでしょう。

 でも、その結果、どうなるか。

 うまくいかず、また次の方法を考えるというケースが大半です。
失敗する原因は、「これならいける!」の判断基準が過去の経験に基づいているからです。

 新しい顧客を開拓すると決まったとき、10年前にトップ営業マンとして活躍した人からこんなアドバイスをもらったとします。

「営業というのは人と人のつながりだから、電話やFAXではなく、まずは相手のところに足を運んで、顔を見て会話すべきだ。メールなんかもってのほかだぞ」

 本当にそうでしょうか。ITが発達した時代にメールを使わないのはなぜでしょうか。人によっては、メール以外は受け付けないということもあるかもしれません。

 過去の経験にこだわるあまり、かえってリスクが高まってしまう。多くの会社で同じような状態にあるのではないでしょうか。

●ソフトバンクの新規プロジェクトの進め方とは?

 一方、ソフトバンクで新しいプロジェクトを始めるときは、進め方は実行しながら練り上げていきます。

「顧客の新規開拓をするのは、ただでさえ大変だ。これまでと同じ方法では、新しい顧客を獲得することは難しいだろう。まずは相手にアポイントを取り付けることが最優先だから、確実にそれができる方法を探さないといけない」

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