●「睡眠環境マトリクス」の左上から対処していく

 そこで、是非やっていただきたいのが、「睡眠環境のマトリクス」を作ることです。縦軸と横軸を書き、横軸の左右を「内部環境」と「外部環境」、縦軸の上下を「コントロールできる」と「コントロールできない」として4象限に分割し、4つの枠に、1つひとつの要素を当てはめていくのです。(※【図1】参照)

 左上の「(1)コントロールできる内部環境」には、パジャマや寝具、お風呂の入り方など、自分次第でいくらでも工夫できる事柄が当てはまります。右上の「(2)コントロールできる外部環境」は、隣で寝る人のイビキや、お子さんの夜泣きなど、自分以外の人の問題だけれども、寝室を別にするなどの対策が取れる事柄が当てはまります。

 一方、左下の「(3)コントロールできない内部環境」は、性格が合わない上司へのストレスや明日のプレゼンに向けた不安などの仕事上の悩み、すでに罹患してしまった風邪、女性のホルモン周期による不眠など、自分自身のことながら簡単には調整できない事柄が当てはまります。そして右下の「(4)コントロールできない外部環境」とは、たとえば家が国道沿いにあって騒音がすごいなど、ほとんどどうしようもないような事柄が当てはまります。

 このように4分割すると、(1)から(4)に進むに連れて、コントロールが難しくなってくることがわかります。だからこそ、まずは自分の工夫次第で改善できる、左上の「コントロールできる内部環境」から着手すべきなのです。ただし、「睡眠の妨げになっていると感じやすい順番」は、(4)から(1)と逆であるという点に注意が必要です。

 たとえば(4)の代表例「近所の騒音」に対処するには引っ越すしかありませんし、(3)の仕事のストレスは、自分だけではどうしようもありません。(2)のパートナーのイビキに対処するために別の部屋で眠ろうとしても、それを相手に伝えるとなれば、人間関係上のストレスが生まれるでしょう。だからこそ、まずは(1)の「コントロールできる内部環境」から手をつけるのが最も効率的なのです。

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