破格で仕入れた商品は、自動販売機での販売だけではなく、スーパーなどにもチラシの目玉商品として卸してもいる。スーパーとしても、メーカーから買うよりミリオンから仕入れたほうがコストがかからないので重宝されるのだ。こうしたビジネスモデルは、すべて平川専務のアイデア。「人と同じことをしたくない」という思いから、かつてない自動販売機ビジネスを成功させた。

「多くの消費者は、自動販売機を使うときに、どこのメーカーであるとかは意識していないと思います。それよりも、飲みたいと思う商品があるか、その価格はいくらなのか、を重視します。ミリオンは、そこに目をつけたんです」

 さらに、沖縄という土地が与えてくれたヒントもあった。

「沖縄に観光に来たとき、普通の自動販売機と、沖縄限定の自動販売機が2つ並んでいたとしますよね。すると多くの人が、沖縄限定の自動販売機を選ぶんです。どうせなら、その土地でしか飲めないものを飲みたいという人の心理です。自社の自動販売機を真っ黄色にしたのは、この心理を利用するためです。どこに行っても『ミリオンの自動販売機だ』とひと目でわかることが重要なんです」

●大手メーカーにできない細かい工夫で勝負

 毎日飲みたいものが変わる消費者のニーズに答えるため、オリジナル商品を開発し、それらを激安価格で売ることで、さらに消費者にミリオンの自動販売機を印象づけることに成功した。

「こうした細かい工夫というのは、大手のメーカーではできないことだと思います。今、自動販売機の機械自体も、より購買意欲を高めるために、ある仕掛けを考えているところです。内容はまだ企業秘密ですが、今年中には実現できる予定なので楽しみにしていてほしいですね」

 設置台数は右肩上がり。沖縄では、業界No.1の設置台数を誇るコカ・コーラの、3分の1の数に到達したという。関東でも繁華街を中心に1000台を設置した。今後さらに台数を増やしていく予定だ。

「自動販売機を使ってやりたいビジネスはまだまだあるんですよ。思い立ったらすぐやりたい性格なので、どんどん実現していきたいですね」

 関東でも、コカ・コーラの背中が見えてくる日は近いかもしれない。(取材・文/清談社)