ジュンク堂書店池袋本店横の「東(あずま)通り」を入って約5分。
すごい若く綺麗な女性が集まる「天狼院書店」がある。
たった15坪の書店なのに、「本屋にこたつがある!?」と話題になり、開店わずか3年で153件のマスメディアに取り上げられた。
なかでも、店主の三浦崇典氏は『AERA』の「現代の肖像」にも登場した。ただ、その起業のきっかけが、1冊の本だったというから驚きだ。
その1冊とは、稲垣篤子著『1坪の奇跡』。
たった1坪、「羊羹」と「もなか」の2品で年商3億円。吉祥寺ダイヤ街で40年以上行列が途絶えない奇跡の店があるという。
どんなお店なのだろうか?三浦氏に語ってもらった。
●僕が行列に並んだ理由
数年前の冬、僕は思い立って吉祥寺「小(お)ざさ」の行列に並ぶことにした。池袋から始発に乗り込み、吉祥寺駅に着き、ダイヤ街というアーケード街に向かうと、すでに行列ができていた。
行列には、常連も多かったが、日本全国から来る人もいるという。
僕のように、都内なら始発でなんとか間に合うが、地方の人はそうはいかない。前日入りして、近くのホテルに泊まって並ぶ人もいるという。
行列の先にあるのは、たった1坪の和菓子屋である。
僕らが狙うのは、1日150本限定の「幻の羊羹」だった。
この「幻の羊羹」を求める行列が、40年以上、途切れたことがないという。
このときは、編集者と装丁デザイナーの友人と一緒に並んだのだが、僕らの手には1冊の本が握られていた。
それが、吉祥寺「小ざさ」代表稲垣篤子氏の著書『1坪の奇跡』だった。
つまり、「幻の羊羹」を待つ行列に並びながら『1坪の奇跡』を読もうと僕らは考えたのだ。
僕は2013年9月26日に東京池袋に天狼院書店の1店舗目「東京天狼院」をオープンさせることになるのだが、その当時は、まだ天狼院書店は存在していない。
行列の中で、吉祥寺「小ざさ」のビジネスを研究しようと僕らはしたのだ。
寒い中、朝早くに多くの人がこの行列に並んでいた。この行列の正体は、いったい、何なのだろう。