大学生に聞いてみると、確かにこのようなエピソードはあったが、実はそれらに接している人は少数派で、「自分のアカウント界隈では見たことがない」という人も多かった。

 また、上述のエピソードも確かに問題のある発言だが、冒頭で紹介した炎上ケースのような、犯罪の匂いがする発言や、特定の人物への強い差別・中傷的な発言に比べると、少し過激度は落ちると言える。もちろん、それでも「してはいけない発言」ではあるが、おそらく多くの読者にとって「これまでもあったもの」であり、近年モラルが悪化している証拠とまでは言えないはずだ。

 ということは、冒頭で紹介した例は、大学生全体における「モラル崩壊」の傾向ではなく、あくまで一部に見られることなのかもしれない。

●大学生全体ではモラル向上 ではなぜ炎上発言が起こるのか

 では、大学教授の視点から見ると、どんな印象になるのだろうか。ネット社会に詳しい駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部准教授の山口浩氏は、近年の大学生のツイッターモラルについてこう述べる。

「大学生のツイッターモラルが低下しているとは考えられず、むしろ以前より高まってきたと思います。今の大学生は中高生の頃からツイッターを使っており、炎上事例もよく見ていますから、そのリスクをわかっているのでしょう。一方で、SNSのモラルやメディアリテラシーに追いつけていない学生が一部いるのは事実。彼らについては教育で高めなければいけませんが、ただしそれは少数派だと思います」

 近年、ツイッターにおける若者の傾向として「複数アカウントの使い分け」がある。実際、高校生は平均で3.1個、大学生は2.5個のアカウントを一人で使い分けているという調査も出ている(電通総研「若者まるわかり調査2015」)。

 このようなデータについても、「仲間やキャラを使い分けるのは、若者が炎上を避けるリテラシーとして行っていると考えることもできます」と山口氏。もちろん冒頭のようなツイッターでの発言は看過できないが、決してそれは大学生全体の傾向ではないという見解だ。

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