孫正義氏から一発OKを連発した『社内プレゼンの資料作成術』著者の前田鎌利氏。対して「日本一のマーケター」神田昌典氏から「今後100年、歴史に名を刻む名著だ」と評された『最強のコピーライティングバイブル』著者の横田伊佐男氏。
このベストセラー2人が初めてノウハウを惜しげもなく披露する一日講座「ダイヤモンド社プレミアム白熱講座“100%一発説得”最高のプレゼン術×最強のコピー術」に続々申込が寄せられている。なぜ、この講座は読者を惹きつけるのか?
今回は、この10月から横浜国立大学でマーケティングの授業を始めた横田伊佐男氏に、「あの名コピーの舞台裏」をこっそり教えてもらった。
●「私はコレで会社をやめました」あのコピーで、売上6倍!?
世の中を支配する大きな力がある。「言葉」と「数字」だ。
人は「言葉」によって影響され、「数字」によって管理されている。だが、2つを比較すると「言葉>数字」の図式になる。つまり、言葉の影響が大きい。戦争を引き起こすのも、恋愛するのも別れるのも「言葉」の影響が大だ。
その「言葉」をビジネススキルへ昇華させたのが、「コピーライティング」だ。「言葉」の力で、売上やレスポンスという「数字」を左右する力を秘めている。
「数字」につながる「言葉」としてのコピーライティング。売れるコピーライティングには、実は体系立った法則がある。それらを短い時間で、教えるのが私の仕事だ。多くの受講生に向けたコピーライティング講座では、毎回課題を課している。たとえば、こんな宿題だ。
~コピーライティング講座課題~
「自分が心動かされたコピーを持参せよ」
すると、よくもまあ、こんなに面白いコピーがあるなと思うくらい、千差万別のコピーが集まる。先日もある女性受講者から懐かしいコピーが挙がった。
「私はコレで会社をやめました」(出典:マルマン株式会社)
1984年放映の一世を風靡したCMからで、現在40代以上の方にはなじみがあるフレーズのはずである。しかし、なじみのない30代以下世代には、ピンとこないかもしれない。「コレ」とはいったい何なのか?なぜ、このフレーズが一世を風靡したのか?CMの商品は、タバコ型の禁煙グッズ「禁煙パイポ」である。
30秒のCMには、3人の男性が登場する。
1人目が右手に禁煙パイポを持っている。
「私は、この禁煙パイポでタバコをやめました」
2人目が続く。
「私も、このパイポでタバコをやめました」
そして、3人目が登場するが、パイポを持っていない。代わりに、立てた小指を見つめている。
「私は、コレで会社をやめました」
あまり品がよろしくなく、女性には申し訳ないが、「小指」は女性を表現している。つまり、最後の男性は、「女性関係で会社をやめました」としてオチをつけている。
1980年代は、現在と比較にならないくらい喫煙者が多く、室内の多くが禁煙になった現在では信じられない話だが、オフィスや飛行機の中は、当然のように煙が充満していた。当時の喫煙者マーケットは、とてつもなく巨大であり、当然禁煙したい喫煙者も多かったのである。
●「2つの王道」で7億円から40億円へ
では、はたしてこのコピーの成果はいかほどだったか?