スペシャルな睡眠方法があるわけではありません。ただ、「前日の睡眠から手術は始まっている」と意識するだけです。「なんだ、それだけか」と思われるでしょうか。私の経験から言えば、ここに「一流」と「普通」を分ける大きな差があると思います。

「平日の行動を、時刻に沿って順番に書いてください」

 そう言われた時、あなたはどう書きますか?

・7:00起床
・7:30朝食
・8:00出勤……

 こう書き始める人がほとんどでしょう。しかし、この時点ですでに普通のビジネスパーソンの考え方です。一流は、次のように書きます。

・23:00就寝
・7:00起床
・7:30朝食
・8:00出勤……

 多くの人は、就寝時間を1日の「ゴール」と考えています。でも、睡眠が翌日のコンディションに直結するならば、翌日のパフォーマンスを最大化するためには、就寝時間を「1日のスタート」とするべきです。

 シンプルですが、『一流の睡眠』で紹介している睡眠術の大前提となる、非常に重要な考え方です。「今日も1日疲れたからさあ寝よう」という受動的睡眠ではなく、「翌日のパフォーマンスを最高に持って行くためにさあ寝よう」という能動的睡眠へと意識を変えることが、一流のビジネスパーソンへの近道なのです。

 たとえば、仕事を終えて寝室に入り、「やっと自由な時間が訪れた」と思う気持ちはとてもよくわかります。ベッドで読書したり、スマホであてもなくYouTubeや好きなwebサイトを眺めている30分が、もっともリラックスできる時間だという人も多いでしょう。

 しかし、それを毎日繰り返していると、睡眠時間は確実に削られていきます。1日30分だとして、休日を除いた1ヵ月でおよそ10時間。寝る前の30分のネットサーフィンを1ヵ月やめるだけで、1日分の労働時間が確保できる計算です。

 このように、ほとんどの人が、睡眠を1日のスタートとは考えていないのが現状ではないでしょうか。結果を出すことが至上命題である一流のビジネスパーソンが、常に一定以上の成果を上げ、ライバルに差をつけるための効率的な手段として「睡眠習慣の改善」に取り組まない手はないはずだと、私は思っています。