そしてオリンピック関係以外でも、韓国人学校を増設するため都有地の韓国政府への貸出を決めるなど、舛添氏はことごとく都議会自民党に反する政策を進めていった。

「自民党東京都連や都議会は、もう舛添さんを切る方向で動いています。それで今回の『週刊文春』以降、この問題を放置し、むしろ陰では『いつまで持つか。俺たちは模様眺めだ』などと言っているのです。また不倫スキャンダルで潰れましたが、乙武洋匡氏を参院選に出馬させて、ゆくゆくは自民党から知事候補として公認し、舛添さんの後釜に据えるというシナリオもあったんです」(前出の自民党都議団幹部)

●別荘通いは都庁職員からのリーク! なぜ彼らは舛添氏を守らないのか

 舛添氏へのバッシングが止まらない大きな原因は、確かに自民党との確執だが、実はそれだけでもないのだと都庁OBはいう。

「毎週、公用車での湯河原別荘通いは都庁関係者から情報提供されたものです。舛添都知事は、都庁内部にも敵が少なくありません。これは東京都庁の独特の仕組みゆえのものです」

 アジア諸国の国家予算並みの予算を持ち、全国の都道府県で唯一、国からの地方交付税交付金や補助金を必要としない東京都は、1つの独立した国といっても過言ではない規模だ。

お金もあり、学歴もあり、優秀な都庁の職員たちは、『俺たちが都政を動かしているんだ』と思っています。つまり霞が関の官僚と同じメンタリティなんですよ。たとえば中央官僚は、大臣になった国会議員が上司としてやってきても、基本的に自分たちより下に見ています。そのままの図式が都庁職員と都知事にも当てはまるのです。つまり都知事は、自分たちの手のひらの上で踊っているだけだと都庁職員は認識しています。都庁職員にとっては、都政を動かしているのは自分たちなので、誰が都知事になっても関係ありません。だから誠心誠意仕え、身を捧げて知事を守ろうという考えは、都庁の職員にはないのです」(前出の都庁OB)

 そして長年にわたり都議会を牛耳ってきた自民党東京都連と都庁職員は関係が深い。当然、建前では仮に自分たちのトップだとしても、職員が舛添氏の言うことを聞くはずもなければ、ましてや守ろうとするはずがないのだ。

 また自民党や都庁職員との関係だけではなく、危機管理における舛添氏個人の資質にも問題があるという。

「舛添さんは、自分で危機管理をやってきた人だから、人に相談するとか助けてもらうタイプじゃありません。今回も『こういう風に言う』『こういう風に言わない』『このタイミングではまだ言わないけど、次回に言う』と、すべて自分でシナリオを書いています。それが上手くいっていないのが致命的でしょう。そこに彼が1人でやることの限界があるんじゃないかと思います」(前出の公明党幹部)

 5月12日発売の『週刊文春』では、新たに舛添氏の政治資金の流用問題が取り沙汰され、もはや辞任問題にまで発展しそうな勢いだ。自民党、都庁職員との権力闘争に勝利し、舛添都知事が再び自在に権力を振るうことができる日がくるのだろうか? それとも政争に敗北し、このまま表舞台から消え去ってしまうのだろうか?