1980年以降に生まれた「ミレニアム世代」は、バブル世代と大きく価値観が異なり、働くことの社会的意味を重視している。新しい価値観の広がりにより、社会的価値の追求が利益に直結する現象も起きている。その実態は?

 1000人以上の経営者へのインタビューを15年近く続けてきた藤沢久美氏の最新刊『最高のリーダーは何もしない』から、その具体例をみていこう。

●「新しいハングリー精神」をビジョンに組み込む

 私は、1989年に社会人になった典型的なバブル世代ですが、いまの若手は「ミレニアム世代」と呼ばれているそうです。

 ミレニアム世代とは、2000年以降に20歳を迎える世代、つまり1980年以降に生まれた人たちを指しており、それ以前とそれ以降の世代では、大きく価値観が異なるとされています。

 ミレニアム世代は、子どものころからITに触れ、ほとんどがツイッターやフェイスブックなどのSNSを使いこなします。グループやサークルなど特定のコミュニティへの帰属意識が強いため、みんなで一緒に何かを考えたり、取り組んだりすることを好み、社会貢献やボランティアにも前向きです。加えて、自由であること、情報の透明性、食の安全性、環境問題などにも関心が高いと言われています。

 私の友人でもあるアメリカ人起業家が、こんなことを言っていました。

「いまの若い人たちは、給料が高い会社を必ずしも好むわけではない。社会のためになるかどうかを第一に考えるんだ。だから、若者たちにビジネスを紹介する際にも、『この仕事は社会に対してどんな意味を持ち、どんな貢献ができるのか』をきちんと説明しなくてはいけない。彼らはその説明に納得すると、本当によく働いてくれるんだ」

●「会社のため」ではなく、「社会のため」で成長

 日本人起業家のあいだでも、「求人を出すときには、金銭的な報酬だけを提示するのではなく、社会的意義をしっかりと示したほうが、優秀な人材が応募してきてくれるようになった」という話を聞いたことがあります。

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